安倍晋三・元首相が台湾のシンポジウムにオンラインで参加し、台湾に軍事的圧力をかける中国を牽制したことについて、中国外交部(外務省)は12月1日、垂秀夫・駐中国大使に抗議した。国営メディアが報じた。
これに対し、垂大使は3つのポイントに分けて反論。抗議については東京へ報告するとした。
■日本側は3つの反論
安倍氏は12月1日、台湾の民間シンクタンクが開催したフォーラムに参加。スピーチの冒頭で、「日本と台湾がこれから直面する環境は緊張をはらんだものとなる」と指摘。「中国にどう自制を求めるべきか」というテーマでは、「台湾有事、それは日本有事だ。日米同盟の有事でもある。習近平主席は断じて見誤るべきではない」などと主張した。
そして、台湾に対する武力行使について「軍事的冒険は経済的自殺への道でもある。台湾に軍事的冒険を仕掛けた場合、世界経済に重大な影響を及ぼさずにはいられない。すなわち、中国は深傷を負うことになる」などと話した。
そのほかにも、台湾のTPP加入や、WHO(世界保健機関)のオブザーバー参加などについても支持を表明した。
これに対し中国は、1日の記者会見で「強烈な不満と断固たる反対」などを表明し抗議していた。中国国営放送のCCTVによると、その日の晩には外交部の華春瑩(か・しゅんえい)外務次官補が日本の垂秀夫・駐中国大使と面会し抗議したという。CCTVによると、「日本は台湾についてあれこれ言う資格と権利はない」「台湾独立勢力に誤ったシグナルを発してはならない」などと主張したという。
垂大使はこれに対し「中国側の一方的な主張については受け入れられない」などと反論。その上で、抗議について東京へ報告するとした。
駐中国日本大使館が発表した反論の内容は次の3項目。
1.政府を離れた方の御発言の一つ一つについて政府として説明する立場にない。
2.台湾をめぐる状況について日本国内にこうした考え方があることは中国として理解する必要がある。
3.中国側の一方的な主張については受け入れられない。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
安倍晋三氏「台湾有事」発言で、中国が日本大使に抗議→「中国として理解すべき」など3つの反論