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『クイーンズ・ギャンビット』をチェス最高位の女性が訴える。「男性と対戦していない」の描写は嘘と主張

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『クイーンズ・ギャンビット』原作の翻訳書(新潮文庫)

Netflixのドラマ『クイーンズ・ギャンビット』の中で、事実と異なる描写があったとして、チェス最高位のジョージアの女性選手がNetflix社を名誉毀損で提訴した。ワシントン・ポストなどによると少なくとも500万ドル(約5億5000万円)の損害賠償を求めているという。

 

■クイーンズ・ギャンビットとは?

『クイーンズ・ギャンビット』は、2020年10月から全7話がNetflixで配信開始。わずか1カ月で世界の6200万世帯が視聴したという。

1960年代のアメリカが舞台。母を失い、養護施設で育てられた少女ベス・ハーモンが、チェスプレイヤーとして成長していく姿を描いている。冷戦時代の競技チェスという男性社会で激しい競争を勝ち抜き、ついにソ連の世界チャンピオンに挑戦するという内容だ。

 

■問題となった描写は?

ニューヨーク・タイムズによると、Netflix社を訴えたのは、ジョージアの首都トビリシ在住のノナ・ガプリンダシヴィリさん。13歳でプロのチェスプレイヤーとして活動を始めて、1978年にはチェスの最高位「グランドマスター」の称号を女性で初めて獲得した。1962年から1978までの16年間にわたって女子世界王者だった。

ガプリンダシヴィリさんの名前は『クイーンズ・ギャンビット』の最終話に登場する。主人公のベス・ハーモンが1968年にモスクワで男性選手と対局するシーンで、ラジオの解説者が以下のように話していた。

「彼女に特筆すべき点は性別だけです。ロシアでは特別なことではなく、ノナ・ガプリンダシヴィリがいます。女子世界王者ですが、男性とは対戦していません」

 

■「数千万人もの視聴者の前で業績を台無しにされた」と提訴

 

ノナ・ガプリンダシヴィリさん(2019年撮影)

現在80歳のガプリンダシヴィリさんと弁護団が9月16日、ロサンゼルスの連邦裁判所にNetFlix社を提訴した。

最終話の台詞は「数千万人もの視聴者の前で彼女の業績を台無しにし、貶める破壊的な虚偽」であるとして数百万ドルの損害賠償を求め、「男性と対局していない」とする台詞を削除するよう求めた。

NPRによると訴状には、ガプリンダシヴィリさんは最終話の年代として設定された1968年までに、彼女は少なくとも59人の男性チェス選手と対戦しており、そのうちの28人は一試合で同時に対戦していたと書かれているという。

また、ガプリンダシヴィリさんが実際にはジョージア人なのに、問題の台詞ではロシア人と間違えていることも指摘。ジョージアが旧ソ連の時代もその後も「ロシアの支配下」で苦しんだ事実を踏まえても、事態を悪化させているという。

ガプリンダシヴィリさんは弁護団が用意したビデオメッセージの中で次のように述べたと、ニューヨーク・タイムズは報じている。

「架空のキャラクターが、他の女性のために道を切り開く姿が描かれていますが、それは実際には私が切り開いた道で、何世代にも渡って影響を与えたものです。皮肉なものです」

一方、同紙の取材に対して、Netflix社は「ガプリンダシヴィリさんと彼女の輝かしいキャリアに対して最大限の敬意を払っているが、この主張には価値がなく、積極的に反論していく」と声明で述べているという。

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Source: ハフィントンポスト
『クイーンズ・ギャンビット』をチェス最高位の女性が訴える。「男性と対戦していない」の描写は嘘と主張

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