現時点では治療困難な血液がんとされている「多発性骨髄腫」。
国立がん研究センターによると、日本国内における多発性骨髄腫の発症人口は10万人あたり6.0人。すべてのがんの約1%、血液がんの約10%を占めている。
治療困難とはされているが、治療によって長期の生存が可能となるため「QOLを維持しながら長期生存を目指すこと」を目標とした、長期に及ぶ治療を行う場合が多いという。
Johnson&Johnsonは11月15日、多発性骨髄腫の患者と多発性骨髄腫を診療する医師を対象とする調査結果を発表。患者や医師の治療継続に関する実態と認識、また前向きに治療を継続する上で必要なことをひもといた。
【調査概要】
調査主体 : ヤンセンファーマ
調査期間
・患者:2024年6月3日~7日
・医師:2024年6月17日~21日
調査対象者
・患者:多発性骨髄腫と診断され、薬物治療を受けている(もしくは受けたことのある)患者30人
・医師:血液内科、血液腫瘍内科に所属し多発性骨髄腫を診療する医師119人
方法 : インターネット調査(調査実施会社:インテージヘルスケア)
調査では、患者全体の80.0%が「薬による治療は、落ち着いた状態を維持するために、長く続けるもの」と認識していることがわかった。一方で、53.3%が、症状が軽快している状況で「(薬物治療を)休みたい」と思ったことがあると回答。
その理由としては「副作用がつらかったから(56.3%)」が最も多く、次いで「通院などが身体的な負担と感じたから(37.5%)」「薬を含む治療にかかる費用が負担と感じたから(37.5%)」「治療が続くことで精神的な負担があったから(31.3%)」などの回答が寄せられた。
しかし、「休みたいと思ったことがある」と回答した患者の68.8%は「(治療を)休んだ経験なし」と回答しており、結果的に患者全体の約8割は、休薬することなく治療を継続していることがわかった。
また、多発性骨髄腫を診療する医師119人に、薬物治療により症状が軽快した患者の治療継続の割合を尋ねたところ、平均71.5%の患者が治療を継続しているという結果になった。
患者が長期的治療に前向きに臨むために、どのような状況が望ましいのか。
調査では、患者全体の回答で最も多かったのが「主治医から、治療や副作用、治療期間に関する説明が十分にあること」という回答(86.7%)。次いで「主治医に治療や副作用、治療期間に関する不安や疑問などを相談できること(76.7%)」「病気や治療、医療費制度に関する情報を得ること(56.7%)」と続いた。
同様の質問に対する医師の回答においても、「主治医から、治療や副作用、治療期間に関する説明が十分にあること」が70.6%で最も多く、次いで「主治医に治療や副作用、治療期間に関する不安や疑問などを相談できること(69.7%)」「病気や治療、医療費制度に関する情報を得ること(54.6%)」と、患者と同じ項目が上位3つを占めた。
特筆すべきは、約半数の医師が「患者さんの身近で世話をする人に、治療や治療期間、副作用などに関する不安や疑問を相談できること」と回答した一方で、患者の回答における同項目の占める割合は20.0%に留まった点だ。
さらに、医師からは「患者さんの身近で世話をする人自身が、病気や治療、医療費制度について情報を入手すること(47.1 %)」「同じ病気の患者同士で経験を伝えあったり、情報交換したり、コミュニケーションをとること(29.4%)」という回答も多かった。
これらの項目における、医師と患者の認識のギャップについて、Johnson & Johnsonは「医師は、前向きな治療継続において、医師や患者さん本人だけでなく、身近で世話をする人(家族など)や患者さん同士での相談やつながりも大事であると考えている」との見解を示した。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
多発性骨髄腫、前向きな長期治療に必要なものは?患者と医師の認識にギャップも【調査結果】