アメリカ大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏に敗れた民主党のカマラ・ハリス氏が11月6日午後、出身校である歴史的黒人大学のハワード大学で約12分間の敗北演説をした。
濃い紫のスーツを身にまとったハリス氏は笑顔を見せながら会場に姿を現し、集まった支持者に希望を捨てないよう呼びかけた。
「アメリカの民主主義の基本原則は、選挙に敗れた時に結果を受け入れることです。それこそが君主制や独裁政治と民主主義をわけるのです。国民の信頼を得ようとする者は、その原則を尊重しなければなりません」
「同時に、私たちの国では忠誠を捧げるべき相手は大統領や政党ではなく、合衆国憲法であり、良心、神です」
「この3つすべてに対する忠誠から、私は選挙の敗北を受け入れながらも、この選挙キャンペーンを後押しした闘いを諦めません」
「自由のため、機会のため、公平さのため、そしてすべての人の尊厳のための闘いです。私たちの国の核心にある理想、アメリカが最も輝く理想のための闘いです。私はこの闘いを決して諦めません」
ハリス氏は、若い支援者たちに希望を失わないでほしいとも呼びかけた。
「悲しみ、落ち込んで当然です。でも大丈夫だということも知っていてください」
「私は選挙中に何度も『闘う時、我々は勝つ』と言いました。重要なのは闘いは時に時間を必要とするということです。それは、勝てないという意味ではありません」
「大切なのは、絶対に諦めないことです。決して諦めないでください。世界をより良い場所にするための努力を止めないでください」
トランプ氏は、7つのスイング州すべてを制し、選挙人だけではなく全体の投票数でも勝利する見込みだ。
経済や移民に対する懸念が高まる中、2024年の大統領選挙で民主党は強く拒絶された形になった。
出口調査によると、トランプ氏はほぼ全ての人口層で支持を伸ばした。その傾向は特にラテン系と若年層で顕著だった。
6日の敗北宣言でハリス氏が姿を見せる前、支持者や学生が集まった会場は静まり返っていた。
副大統領候補だったミネソタ州知事のティム・ウォルズ氏は席で涙をこらえているように見え、ハリス氏の家族も感情を押し殺しているようだった。
それでもハリス氏は「闘いを諦めない」と何度も繰り返した。また、6日にトランプ氏に電話をして勝利を祝福したとも述べた。
トランプ陣営の広報担当スティーブン・チャン氏は「ハリス氏は歴史的な勝利を祝福し、トランプ氏はハリス副大統領の強さやプロ意識、選挙戦を通じた粘り強さを称賛した」と声明で述べた。
2020年の大統領選挙で、トランプ氏は敗北を認めず、2021年1月6日に連邦議会議事堂で起きた支持者による暴動を煽り、ジョー・バイデン氏の就任式にも出席しなかった。
そのトランプ氏と2024年の大統領選挙を争ったハリス氏は、女性の権利や自由を守ることなどを公約に掲げ、すべての人のための大統領になると訴えてきた。
しかし、11月5日に投票が締め切られた後、選挙結果を左右すると言われる7つの激戦州でのハリス氏の劣勢が報じられると、同氏の選挙会場の空気は歓喜から落胆へと変わった。
ハリス氏の同級生だったというソニア・ロケットさんは5日、「トランプがどのような人物で、どんな発言をし、権利を奪おうとしてきたのを見てきた上で、これほど多くの人が彼を支持することに正直驚きを感じています。ただ、驚くと同時に納得している部分もあります」と述べた。
市民権団体の責任者を務める48歳のリサ・ハーグローブさんは、今回の選挙で浮き彫りになったアメリカの現状に失望したと語った。
「2024年にもなって、両陣営の隔たりがこれほど大きいことに不安を感じています。極端すぎると思いませんか?私の知り合いのほとんどは、どちらを支持するかで違いがあるとはいえ中道寄りです。現在の状況を受け止めきれません」
一方、ハリス氏の集会に参加したハワード大学4年生のジャメア・ハーグレーブス氏は、「Ls(loss:敗北)ではありません」と語った。
「私たちはすべてのLsを教訓(lessons)に変え、教訓を祝福(blessings)にします」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
ハリス氏が敗北演説「負けを認める。だけど闘いは諦めない」【米大統領選挙】