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人懐っこかった牡鹿が人間の身勝手さの犠牲になり、悲しみが広がっている。
スコットランドに「カラム」の愛称で親しまれた1頭の野生のアカシカがいた。人間を怖がらず、地元住民に愛され、ハイキングなどにやってきた観光客らからの人気もあった。
地元メディアRoss-shire JournalやBBCなどが報じている。
カラムはオスのアカシカ。イギリスの「The Wildlife Trusts」によると、一般的にアカシカは体長約1.7〜2メートル、体重は重いと225キロほどになり、シカとしては同国最大。平均寿命は16〜18年という。
カラムはスコットランド北西部の高地トリドンで暮らしていた。BBC Wildlife Magazineによると、人懐っこいカラムに観光客らは長年にわたりシリアルバーやクロワッサン、おこしなどを与えてきた。人間に食べ物を与えられることに慣れ、訪問者用の駐車場にやってきては写真を撮ろうとする観光客に愛嬌を振りまくようになっていった。
人間の食べ物は野生動物に悪影響を及ぼす。カラムの場合は、ほとんどすべての歯を失ってしまった。草や低木、木の根を食むことができなくなり、健康状態が悪化していった。
弱っていくカラムの状況を受け、歴史的遺産や自然の保護に取り組む「National Trust for Scotland」(NTS)は獣医にアドバイスを求めた。同団体は安楽死させることがカラムにとって最善と判断した。
同団体の広報担当はBBCの取材に「アカシカのカラムを人道的な方法で殺処分しました。地元住民のみなさんも、観光でやってくる人たちも、大変残念に感じられることと思います」と伝えたうえで、「自然保護のチャリティー団体として、私たちは動物の健康に対する責任を負っています。獣医のアドバイスは選択肢の中で最も思いやりがあるものだったと考えています」と理解を求めた。
安楽死のニュースに、過去にカラムに会ったことがある人たちなどから「悲しい」「人間が多くの痛みと苦しみの原因になっている」と悼む声が上がっている。
直近のカラムの様子を見たという人もいて、「悲しまないで。カラムは自力で立ち上がれないほどのショッキングな状態だったので、今年4月にNTSに連絡を入れました。かわいそうに尊厳は失われていて、野生で生き抜ける可能性はなさそうでした」と報告している。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
人間の身勝手の犠牲になったシカ。クロワッサンやおこしで歯を失い、殺処分される「人が痛みと苦しみの原因になっている」