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【最新調査】日本とアメリカ、CEO報酬実績の差額は35億円。欧米企業との報酬格差は縮小傾向

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インフレに伴う賃上げの対応や、財務指標となるESG(Environment・Social・Governance)の取り組みなどの課題が並ぶ中、日本企業のCEO報酬制度における報酬水準や設計の特徴はどのような状況にあるのだろうか。

HRガバナンス・リーダーズ(以下HRGL)は5月21日 、日米欧のCEO報酬に関する調査結果を公表。本調査では、2023年における日本、アメリカ、イギリス、ドイツ企業のCEO報酬の報酬実績、報酬構成比(報酬ミックス)、および業績評価指標を比較した。調査結果を一部抜粋し、その現状をひもといていく。

日本とアメリカ、CEO報酬実績の差額は35億円

各国のCEOの報酬実績の中央値は、日本企業が合計2.6億円、アメリカ企業が37.3億円、イギリス企業が6.6億円、ドイツ企業が7.3億円だった。

CEOの報酬実績の中央値CEOの報酬実績の中央値

アメリカ企業のCEOの報酬水準は日本企業の約14.3倍で、その差額は約35億円だ。また、イギリス企業は約2.5倍、ドイツ企業は約2.8倍と、日本企業のCEOの報酬水準は、依然として低いのが現状だ。

各通貨が10円~20円ほど円安に動いている中で、比率的には他国との報酬格差はイギリスでやや縮小し、ドイツは概ね横ばいで推移している。日米欧企業のCEO報酬総額を現地通貨別で比較すると、日本企業が前年比18%と最も増加しているほか、アメリカ、ドイツについても日本との報酬格差は前年より縮小している。

*2023年:2023年為替レートをもとに、日本円に換算:1ドル=141.83円、1ポンド=180.68円、1ユーロ=157.12円

 2022年:2022年為替レートをもとに、日本円に換算:1ドル=131.43円、1ポンド=161.92円、1ユーロ=138.04円

日本企業の実績に基づく報酬ミックス日本企業の実績に基づく報酬ミックス

日本企業の実績に基づくCEO報酬ミックスは、基本報酬が全体の約4割を占めている。中長期インセンティブは26%にとどまっており、アメリカ企業およびイギリス企業の構成比と比べて低い水準だ。ドイツ企業は、基本報酬が約4割、変動報酬が約6割程度と、固定報酬と変動報酬の比率が日本企業と概ね同様となっている。

アメリカ企業の構成比は、基本報酬が5%と限られる一方、変動報酬が95%(短期インセンティブ(STI)が12%、LTIが83%)と大部分を占めている。またイギリス企業は、基本報酬が約3割、STI・LTIがそれぞれ3~4割程度で、比較的均等な構成になっている。

将来財務指標としてのESG、日本企業が注力する領域は?

CEO報酬における業績評価にあたって財務指標を採用している企業を対象に具体的にどのような指標が用いられているかを調査したところ、日本企業はSTIにおいて、純利益や営業利益を用いている傾向が進んでいることがわかった。一方、欧米企業では、営業利益や売上・収益といった指標に加えて、キャッシュフローに関する指標の採用が進んでいる。また、イギリス企業では売上高関連の指標を、ドイツ企業ではキャッシュフローに関する指標を採用する企業の割合がやや減少していた。

STIの財務指標の採用企業比率STIの財務指標の採用企業比率
LTIの財務指標の採用企業比率LTIの財務指標の採用企業比率

また、CEO報酬の業績評価指標に将来財務指標を採用している各国企業を対象に、ESGの各領域の指標を採用する企業数の割合を調査したところ、日本企業においては、「サステナビリティ」など、ESG 全領域にかかる将来財務指標の採用が多い傾向にあることがわかった。欧米企業のSTIにおいては、3領域のうちS領域での採用が特に進んでいる一方、米国はSTI・LTIの双方でE領域の指標の採用が比較的進んでいないことがわかった。

将来財務指標の採用状況将来財務指標の採用状況

本調査の結果について、HRG代表取締役CEOの内ヶ﨑茂さんは「今回の調査から、日本企業と欧米企業の経営者の報酬水準の差は縮小していることが確認できた」「資本市場からの評価を意識しつつ、各社のマテリアリティ(重要課題)に応じた、未実現の将来財務指標を業績評価指標に取り込むことで、社会課題の解決と経済の発展を促すサステナブルな社会の実現への取組みを強化する動きは、今後さらに加速していくだろう」と総括した。

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