世界中でジェンダー平等の実現に向けた取り組みが進むが、ビジネスの場において女性が取締役会(3人以上の取締役が参加して、株式会社の業務執行に関わる意思決定を行う機関)の一員として活躍できる環境づくりは、依然として難航している。
2023年に146カ国中125位という過去最低順位のジェンダーギャップ指数を記録した日本では、政治や経済において特に遅れていることが問題となっている。
SDGsの年限である2030年迫りつつある中、デロイト・グローバルでは、地域・国別にダイバーシティに関する条例や取り組みに関する各種調査結果を収集し、報告書「第8版 Women in the boardroom」にまとめている。本報告書の日本語版発行にあたり、調査結果を一部抜粋して紹介する。
本報告書では、アジア太平洋地域(APAC)、米州、欧州・中東・アフリカ(EMEA)に及ぶ50カ国の、1万8085社の現任取締役会メンバーおよび各種委員会委員である20万6506人を対象とした統計データをもとに分析している。
本報告書によると、世界の取締役会に占める女性比率は依然として4分の1未満(23.3%)にとどまっており、2022年と比較すると僅か3ポイントの増加となっている。今後同様のペースで進捗すると仮定すると、取締役会におけるジェンダー公正が実現できるのは、2038年頃になる見込みだという。
また日本の現状については、アジア太平洋地域の諸国と比べて、ジェンダー平等への過程が著しく遅れていると説明。深く根付いている男女の給料格差や長時間労働が、女性のキャリア成長を考える上で課題となっている。また、DEI(多様性・公平性・包括性)を重視する世界の動向を受けて、投資家や株主も企業のそれらに対する取り組みを重視する傾向にあるため、迅速な措置が求められている。
本報告書では、特に政府の取り組みが、取締役会におけるジェンダー公正の成果につながることが明らかとなった。
取締役会に占める女性比率が最も高かった上位6カ国のうち5カ国はクォータ制(組織における構造的な差別を抑制するために、男女双方が一定の割合以上になることを求める制度)を採用している。また、イギリスやオーストラリアにおいても政府の継続的な取り組みが結果に繋がっている。
今後も政府に加え、規制当局、投資家、地域団体、そして社会全体など、あらゆるステークホルダーの積極的な取り組みや連携が求められるだろう。
日本語版発行にあたって、デロイト・トーマツ・グループ及び有限責任監査法人トーマツ・ボード議長の永山晴子さんは、「取締役会におけるジェンダー公正の実現には、一社一社の実践も大切ですが、関係者が共に取り組むことで加速させることができます。私自身、現在携わっている職を通じてジェンダー公正に向けた活動に一層取り組み、国内企業の意思決定機関の変革に寄与していきたいと考えています」とコメントした。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
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