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韓国に住む外国人が経験した差別を描いた、漫画エッセイがある。
韓国人のウェブ漫画作家・イェロンさんによる『地下鉄で隣に黒人が座ったら』が和訳され、日本でも2月に刊行された。
著者のイェロンさんは、ガーナ出身の男性と付き合い始めたことをきっかけに気付いた、様々な差別について描いている。
(※差別の実態を伝えるため、この記事には外国人に向けられる差別的な言動や描写があります)
韓国人ウェブ漫画作家のイェロンさんが、韓国国内の人種差別について描き始めたのは2018年ごろ。
韓国で暮らすガーナ出身のマーニさんと付き合い始め、国内の外国人差別の実態に初めて気づいたことがきっかけだった。
マーニさんや、2人が経験した差別を漫画にしてFacebookに掲載し始めると、予想を超える多くの反響が寄せられた。
インターネット上での連載は、2019年に韓国で書籍化された。和訳版では、日本語と英語の併記となっている。
イェロンさんがマーニさんと街を歩いていると、じっとしつこいくらいに見られたり、 「あの黒い人見て」や「あの女…」と差別発言をされたりすることもあった。
イェロンさんは、マーニさんが経験してきた差別を聞き、自分の国がこんなにも無自覚な差別行動にあふれているのかと驚いたという。
マーニさんは、バスに乗っている際、珍しさからか、知らない高齢者にいきなり髪を触られたこともあった。
漫画エッセイで描かれてる出来事の多くは、「マイクロアグレッション」と呼ばれる無自覚な差別行動だ。
イェロンさんはハフポスト日本版の取材に、「外国人に対して露骨なセクハラや差別的な言動を取る韓国人もいますが、大半の人は『無知』であることからそうした行動をする」と話す。
だからこそイェロンさんは、まずどのような差別が起こっているのか、差別的な言動を取られた側の人たちはどう感じているのかについて、丁寧に描いている。
差別についての漫画をFacebookに掲載し始めると、韓国で暮らす外国人からたくさんの差別体験が寄せられた。
イェロンさんは、メッセージを送ってくれた人たちに話を聞き、多くの在韓外国人たちが経験した差別も漫画化した。
韓国で英語教員をしているBさんは仕事に向かう途中、挨拶をしてきた韓国人の男にいきなり「猿」と呼ばれた。男は猿の仕草で金切り声をあげたり、キスの音を出したりした。
マイクロアグレッションは、人種に関する差別だけではない。
漫画では、ジェンダーや障害などをめぐるマイクロアグレッションも丁寧に描いている。
『地下鉄で黒人が隣に座ったら』という本のタイトルは、「人々の心の中にある『内なる小さな差別意識』について気づかせる」ものだという。
イェロンさんはこう問いかける。
「自分が地下鉄に乗っていて、隣に黒人が座ったら…と想像した時に、少しでも居心地が悪かったり、不快に感じたりするでしょうか」
日本でも実際、多くの在日外国人たちが、混んでいる電車でも自分の隣に人が座らないという経験をしている。
漫画エッセイで描かれている差別の多くは、日本でも実際に起こっている事柄だ。
だからこそ、この本の問いかけを、自分の心に尋ねる必要があるのかもしれない。
「無自覚な差別的行動で、知らない間にマイノリティの人たちを傷つけていませんか?」
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
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