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どうしたら、ビジネスセクターが協力して、日本でも難民が生きやすい社会を作っていけるーー?
紛争や迫害から日本に逃れてくる難民の人々と、共に働き、共に生きていくための新しい取り組みがスタートした。
欧米諸国などと比べて日本では難民受け入れが圧倒的に少ない中、産業界が積極姿勢を示すことで、日本社会全体としての受け入れの土壌を作っていこうという取り組みだ。
一般社団法人「Welcome Japan」と、商船三井、LIFULL、パーソルホールディングスなどの日本企業のビジネスリーダー20人が、「難民包摂市場」をつくっていくためのビジネスリーダーと企業のコミュニティ「Welcome Japan CxO Council」を発足した。
参画企業などが2月19日、都内で会見を開き、決意を新たにした。
あらゆる業界の企業が連携。「輪」を広げていく
「Welcome Japan CxO Council」には、現時点で20社の代表取締役などのビジネスリーダーが参画し、ほか8社の代表らがアドバイザーとして就任している。
今後はさらに参画企業数を増やしていく予定だ。
参画している企業は、人材、物流、不動産情報サービス、日本語学校運営など、業界や業種は様々だ。
大企業からスタートアップまで規模も多様で、既に難民と共に働いたり、避難民支援をしたりしている企業もあれば、今から挑戦したいという企業など様々だ。
参画企業の一社で、電子機器の回収、リユース・リサイクル販売をする「ピープルポート」(神奈川県横浜市)の工場では、紛争や迫害から日本に逃れてきた難民が働く。
このように、難民認定を受けるなどして就労許可を得た人の雇用経験がある企業は、今後雇用を考えている企業にアドバイスをしたり、知見を共有したりして、カウンシルを通して「輪」を広げていく仕組みだ。
就労の問題だけではなく、日本で暮らしていくために必要となってくる、住居や語学学習、医療へのアクセスの問題など、様々な側面から、ビジネスがどうサポートしていけるかを模索していく。
「難民も日本も皆でたくましく」「共に良い社会を作っていくという思い」
難民・移民の社会包摂をテーマに活動する一般社団法人「Welcome Japan」代表理事の金 辰泰さんは、「難民も日本も、皆でたくましく、多文化共生社会をつくっていく」という思いで、カウンシルを立ち上げたと話した。
「まもなくウクライナ侵攻から2年となりますが、他にも多く難民が出ているアフガニスタン、シリア、そしてパレスチナもそうですが、『忘却との戦い』であるとも感じています。今このタイミングで、日本の産業界が『ビジネスと難民』という観点で取り組もうとしていることには意義を感じます」
「難民の方々のニーズに、ビジネスの力で寄り添っていき、難民包摂市場を作っていきたいと思っています」
会見では、カウンシルに参画しているビジネスリーダーが一人ずつ、参画への思いや抱負を述べた。
社会課題をビジネスで解決する「ソーシャルビジネス」を13か国で51事業展開する「ボーダレスジャパン」代表取締役社長の田口一成さんは「『助けるために雇った』ではなく、難民の方たちと『共に良い社会をつくっていこう』という思いでやっていけたら」と語った。
圧倒的に低い日本の難民認定率。どう変えていけるか
Welcome Japan CxO Councilは、アメリカでの難民受け入れサポートの「The Welcome.US CEO Council」などを参考につくられた。
難民受け入れが進むヨーロッパ諸国などにも、同様の取り組みがある。
NPO法人「難民支援協会」によると、2022年のアメリカの難民認定率は45.7%で4万6629人、イギリスは68.6%で1万8551人だった一方で、日本は認定率が2.0%で202人と圧倒的に低い。
例年は1%を下回るなど、極めて低い現状となっている。
現在、紛争や迫害で故郷を追われた難民は世界で1億1000万人を超えている。
国連難民高等弁務官補のジリアン・トリッグスさんが2022年12月に来日し、会見を開いた際にも、日本の受け入れを「もっと増やしてほしい」と語った。
今回のカウンシル発足のように、産業界が受け入れる姿勢を示し、実行していくことで、日本全体としても前向きな方向に影響を与えていくかと金さんに尋ねると、「そのような流れになっていけば」とし、以下のように話した。
「ウクライナ避難民のケースでは、行政や大学、市民がコミュニティスポンサーシップで受け入れをしました。しかし、安定して暮らしていくには、働けないと持続可能ではありません。やはり政府としても、産業界がそのような形で動き出し、多様な人たちがありのままに輝け、日本社会を育てていくのではないかという中長期的な資産に立脚していれば、そのような流れをつくっていけるのではないかと思っています」
「難民から人材、人材から隣人へ」
後援の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も会見に出席し、駐日代表の伊藤礼樹さんが、社会全体で難民を受け入れていくための展望を語った。
「日本で様々な場所で『難民』という言葉を出すと、皆さんに引かれてしまう。それがやはり日本の現実でした。でも、ウクライナ避難民の方が来て、少し変わったのかなと思います」
「国と国連とNGOで難民のことをやるという時代は終わったと思います。これからは、先ほど金さんがおっしゃってたように、社会全体で難民を受け入れて、自立に持っていくという形になっていきます。CxOカウンシルの方々には、これまで難民支援に関わってこなかったような方々にも輪を広げていってほしいです」
長期的な目標としては、「難民」ではなく「隣人」として接することができる日本社会を目指していければと話した。
「難民から人材、人材から隣人へ。つまりコミュニティの一員として普通に難民が暮らせる社会が作れればと思います」
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どうしたら難民と共に生きる日本社会をつくれる?ビジネスリーダーたちが始めた新しい連携の「輪」とは