あるバレンタイン限定チョコが「虹色」な理由は…。マーブルチョコにはたくさんの思いと願いがつまっていた

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《MILLION COLORS みんなの数だけ色がある》

《JUST LOVE YOURSELF ありのままのキミが好き》

明治が、こんなメッセージが書かれた期間限定のマーブルチョコレートを発売した。

パッケージには、虹色のプライド・フラッグのアイコン。この商品は、明治社内のLGBTQ+アライのメンバーが中心となってつくったものだ。

込められた思いは。担当者に話を聞いた。

期間限定販売のマーブルパウチダイバーシティパッケージ

バレンタインは女性が男性にあげるもの?「令和」の形は…

5種類の異なるメッセージが書かれた「マーブルパウチダイバーシティパッケージ」は、バレンタインデーを前に、1月16日から数量限定で発売された。

明治の社内有志でつくるアライネットワーク「Marble」が、東京・新宿で常設のLGBTQセンターを運営する「プライドハウス東京」と協働で、パッケージのデザインやメッセージを考案した。

アライとは、多様な性のあり方に理解のある非当事者で、支援者や応援者を意味する。

Marbleという名前は、「Make a rainbow(虹を作る)」と「ble(英語で、できるという接尾語)」の略で、「アライの活動によって多彩な虹を描いていける」という思いが込められてるという。

Marbleは2021年にスタートした。約60人のコアメンバーは商品開発、営業、工場での製造担当など様々な職場に所属し、業務の一環として活動している。

社内でのLGBTQ+についての勉強会や映画上映会を行うなど、月1回のペースで活動している。

Marbleがバレンタインシーズンに合わせて、商品を企画提案したのは2023年に続き2回目だ。

明治社内のLGBTQ+アライネットワーク「Marble」

バレンタインシーズンは、1年で最もチョコレートが注目される時期。多くのチョコレート商品を販売する同社にとっても勝負の季節だ。

令和の時代にアップデートされた形のバレンタインについてMarbleの活動の中で考えたことが、マーブルパウチダイバーシティパッケージ開発のきっかけとなった。

日本のバレンタインでは、女性が男性にチョコレートを贈るという習慣がある。しかし、限られた性別やセクシュアリティの人たちだけでなく、商品を通して「バレンタインをみんなで楽しもう」というメッセージを発信したいとプロジェクトがスタートした。

昨年、第1弾の商品として、「一人ひとり違う、大切に想うキモチ。」を共通メッセージとして5種類のパッケージのチョコレート「CUBIE」を発売。好評に応え、2024年はマーブルチョコで第2弾を発売した。

「色んな人がいるということを認め合える世の中に」

5種類のメッセージがある。

パッケージをデザインする過程では、プライドハウス東京に協力を依頼し、当事者の人たちとの座談会を開き、十数名から商品に対する意見やバレンタインの経験などを聞いた。

座談会では、パッケージに記載するメッセージや文言などについて意見をもらい、ブラッシュアップした。

商品開発の中心となった、Marbleのメンバーの本間由香里さん(カカオマーケティング部)は、座談会で聞いた言葉が印象に残っていると話す。

「当事者の方々がおっしゃっていたのは、『LGBTQ+の人たちだけに対して手厚く何かをしてほしいというわけではなく、いろんな人がいて当たり前なので、みんなが認められて、生き生きと過ごせる世の中になればいいですよね』という思いでした」

「まだまだ閉鎖的な部分がある日本。『もっと色んな人がいるということを認め合える世の中になればいい』と語っていらっしゃったのが心に残っています」

パッケージの底には、虹色のハートと共に「理想が日常になりますように」という言葉が隠れメッセージのように添えられている。

パッケージの底に記載された「理想が日常になりますように」というメッセージ

パッケージに描かれた人々は、様々な人種や肌の色、性別、年齢、身長、体型で、車椅子ユーザーや、ヒジャブを身につけている人もいる。

それぞれのバックグラウンドは全く違うが、皆が仲良く手を繋ぎ、歌いながら歩いている。

服装や肌の色には、6色のレインボーカラーに、トランスジェンダーを表す白・ピンク・水色と、人種的マイノリティを表す茶色と黒が加わった「プログレス・プライド・フラッグ」の色が使われている。

様々な性別や人種、年齢の人たちが描かれている。

発売された商品は、社内でも多くの人に知ってもらうため、工場の定例会などで、アライメンバーが商品を配って説明。込められた思いや、LGBTQ+の基礎知識などについて話した。 

この商品を販売する店舗の中には、LGBTQ+の基礎知識についての書籍と一緒に売り場に並べたり、手作りのポップを作ったりして、来店客に少しでも商品の意図を伝えようと工夫をする店もある。

営業担当者には「考え方に賛同していただける企業さんに販売をお願いしたい」と伝えているという。

日本ではまだまだ、企業がLGBTQ+アライとしてのメッセージを発信するような商品が店舗に並ぶことは多くない。しかし、このような商品を作ったら、賛同してくれる店舗や、参考にしたいと問い合わせてくる企業もあった。

「みんなの数だけ色がある」

今は数量限定での販売だが、本間さんは「来年以降は少しずつ規模を拡大していきたいですし、賛同してくださる小売り流通の企業さんが増えれば」と話す。

Marbleの中心メンバーとして活動する、秋山裕美さん(人財開発部 D&I推進グループ)は「一社でできることは限られてるけど」と前置きし、こう語った。

「こういったことを社会に発信して行く意義はあると思っています。引き続き取り組んでいきたいですし、日本を変えていく力になればいいなとも思います」

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あるバレンタイン限定チョコが「虹色」な理由は…。マーブルチョコにはたくさんの思いと願いがつまっていた

Sumireko Tomita