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「完璧な紅茶をいれる秘訣は、ひとつまみの塩」
アメリカの教授による提案がイギリス市民に衝撃を与え、在英アメリカ大使館が「声明」を出す事態に発展した。
論争の発端になったのは、アメリカ・ペンシルベニア州ブリンマー大学化学学部のミッシェル・フランクル教授の著書『Steeped: The Chemistry of Tea(深く浸す:紅茶の化学)』だ。
1月24日にイギリスの王立化学会から出版されたこの本の中で、フランクル教授は完璧な紅茶をいれる方法として「塩をひとつまみ入れること」と紹介している。
紅茶をめぐるイギリスとアメリカ2国間の大騒動といえば、思い出すのはボストン茶会事件。1773年に、イギリス政府が課した茶税などに反発したアメリカ独立派の市民が東インド会社の船に乗り込んで、茶箱を海に投げ込んだ。この事件はアメリカ独立のきっかけとなった。
フランクル教授の「紅茶に塩」の提案も、1日に1億カップ分の紅茶を消費するとされるイギリス市民に衝撃を与えたようで、ソーシャルメディアには「愚かな行為だ」「犯罪のようだ」などの反応が投稿された。
紅茶で再び国家間の対立を起こしてはならない――と思ったかどうかはわからないが、ロンドンのアメリカ大使館は1月24日、「最新の紅茶論争についての重要な声明」をXに投稿した。
同大使館は「アメリカの教授による『完璧』な紅茶のレシピが、私たちとイギリスの特別な絆を、窮地に陥れています」と声明で危機感を訴えている。
「紅茶は私たちの国を結ぶための聖なる絆、深い友情に欠かせない万能薬です。私たちの特別な関係の根幹を揺るがす言語道断の提案をただ手をこまねいて傍観するわけにはいきません」
大使館は、イギリスの国民的飲み物である紅茶に塩を入れるという見解は、「アメリカ合衆国の公式方針ではない」と強調。
「私たちの深く浸った私たちの連帯を強固なものとし、紅茶についてはイギリスとアメリカは同じ考えを持っているという姿勢を世界に示しましょう」と呼びかけつつ、最後に「アメリカ大使館は、今後も正しい方法で紅茶をいれます。電子レンジで温めるというやり方で」と宣言している。
この声明にすかさず反応したのがイギリス内閣府だ。公式Xで「特別な絆」への感謝を表明しつつ「紅茶はやかんでいれなければなりません」と釘を刺している。
論争を巻き起こした本人であるフランクル教授も、在英アメリカ大使館の投稿をシェアして、「私の本は外交的な意味を持つようです!」とコメントしている。
さらに同教授は、「もちろん外交問題を引き起こすつもりはありませんでした」とBBCに説明している。
フランクル教授によると、塩にはお茶の苦味受容体をブロックする作用があるため、ひとつまみ加えることで苦さを消す効果が得られる。
教授は「紅茶が塩味になるのを嫌がる気持ちはわかる」としつつ、「実験してみるのは、悪いことじゃありません」とコメントしている。
ガーディアンによると、フランクル教授は塩の他にも、紅茶の表面に浮いてくる油膜のようなものを取り除くために少量のレモン汁を入れることや、味と同じくらい重要な要素である香りを楽しむために、テイクアウトをした時にはカップの蓋を外すなど著書で提案している。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「紅茶に塩」米教授の提案にイギリス衝撃。在英大使館が仲裁に乗り出す事態に