凍結した歩道や車道、ウォーキングコースはとても危険です。
凍った道での転倒は大きな痛みを伴い、膝を擦りむいたり、肘や腰を強打をしたりと、さまざまな怪我をする場合もあります。
メイヨークリニックによると、滑って転倒した入院患者はアメリカでは毎年およそ80万人にも上ります。
ウィスコンシン州ラクロスにあるメイヨークリニックの整形外科医カリリン・ブリンジ博士は「このような転倒はかなり頻繁に起こっており、そのうちの5分の1で、治療を必要とする怪我が発生しています。つまり、転倒を防げれば、それらの怪我も防げるということです」と話します。
年齢に関係なく、すべての人が避けたい凍った雪道での転倒。防ぐためには、ある動物の歩き方が参考になるそうです。
凍てついた道で滑らないための方法として専門家たちがお勧めするのが「ペンギン歩き」です。
クリーブランドクリニックの理学療法士で高齢者理学療法学の臨床専門医モニカ・リーチ氏によると、ペンギン歩きとは、次のような歩き方です。
▼膝を少し曲げて、何か起きた時に反応できるような姿勢を保つ
▼爪先を少し外側に向けて腕を横に広げ、バランスを取る
▼フラット歩行(足裏全体を地面につける)もしくはシャッフル歩行(足を引きずるような歩き方)で(ゆっくりと)進む
▼重心を足の上に置く(その結果、ほんの少し前傾の姿勢になる)
リーチ氏は「この歩き方はペンギンのように見えるため、ペンギン歩きと呼ばれています」と説明します
ブリンジ氏はペンギン歩きのポイントは、「ゆっくりと、小さな歩幅でシャッフル歩行すること」だと説明します。
その理由は、摩擦と重力に大きな関係があるそうです。
「凍結して滑りやすくなった路上では、歩幅が大きくなればなるほど、より大きな力が加わり、滑る可能性が高くなります」
ブリンジ氏は、小さな歩幅でゆっくりとシャッフル歩行をするペンギン歩きは、重心が足の上にあるので、少し滑った場合でも大きな転倒になる可能性が低いとも話します。
「もし滑ったとしても、あまり勢いがないので、遠くまで滑る可能性は低いでしょう」
ペンギン歩きのもう一つの利点は、両手が自由になっていることです。
ブリンジ氏は「腕が自由になっていると、すぐに体から離すことができるので、バランスを保ち、転倒のリスクを減らせます。転倒した場合でも、頭をぶつける前に自分の体を支えられます」と話します。
そのためには、両手をポケットに入れないことが重要です。手をポケットに入れていると、適切なペンギン歩きができず、バランスを取ったり、必要な時に反応したりできない可能性があります。
また、携帯電話も持たないようにしましょう。
ブリンジ氏は「携帯電話を手に持つことが、転倒の一因になっていると思います」とも指摘します。
「携帯電話を使ってメールチェックやメッセージ送信していると、自分の歩いている場所を見たり、路面の状態を確認したりすることができません。少し危険な場所を歩く時には、転倒防止のために携帯電話はしまっていたほうが良いでしょう」
転倒を避けるために、ペンギン歩きの他にもできることがあります。
ブリンジ氏は「私たちは天気予報で前もって雪が降るかどうかを知ることができますので、事前に備えておきましょう」とアドバイスします。
「2日後に雪が降るのであれば、車の燃料を満タンにし、食料品店で買い物をするなどして、不必要な外出を避けられます。こういった備えをしておけば、自分自身だけではなく、外出しなければならない人たちの安全も守れます」
どうしても外出しなければいけない場合は、歩行器や杖が必要な人たちは、補助器具を忘れないようにしてください。
さらに、滑りにくい冬用の靴を履くことでも、転倒を減らせます。メイヨークリニックは、溝が深く、滑り止め加工をしたトレッドゴムの靴やブーツを勧めています。
リーチ氏は、歩く時には視線を上げて目の前に何もないことを確認することに加え、下を見て路面が凍結していないかをチェックするなどして、周囲の状況にも注意を払ってほしいと話します。
「暗く濡れている場所は、滑りやすいか凍っている可能性が高いといえます。歩く時にはそういった場所は避けた方が良いかもしれません」
すでに他の人が歩いた道があれば、その道を選んだ方が安全です。リーチ氏は、すでに人が歩いた道とは別の近道を探したくなっても「その下に何があるかわからない」と説明します。
最後に改めて、ペンギン歩きで何よりも重要なのは、ゆっくりと歩くことです。
リーチ氏は「用心するに越したことはありません。時間をかけてください」と話します。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
凍ったツルツル路面では「ある動物」の歩き方をマネすると転倒を防止できる