石川県能登地方で1月1日に起きた最大震度7の地震では、津波や家屋倒壊、火災が発生し、NHKによると、2日正午時点で石川県や富山県などで合計3万2000人以上が避難しています。
多くの人と生活する避難所では、感染症や寒さ対策など、衛生面や健康面で普段とは異なる備えが必要になります。
そのほかにも、過去の震災では避難所での女性や子どもに対する性暴力や、家庭内暴力(DV)があったこともわかっており、性犯罪に注意しなければいけない状況も生じます。
被災地の支援情報を発信している一般社団法人FUKKO DESIGNは2021年6月、「コロナ禍でもすぐにできる!防災アクションガイド」の第7弾として「特に女性に知ってほしいこと / 女性の災害への備え」を発表しました。
このガイドでは「女性は災害時、生理まわりや衛生面で特有のニーズが出てくることや、避難所生活において性犯罪などに気をつけなければいけない状況が発生する」として、「ものの備えを確認しよう」「衛生面で気をつけること」「避難所で気をつけること」「授乳などで気をつけること」の4つの面から災害への備えを紹介しています。
避難時に発生する女性特有のニーズのために、どのような備えや対策ができるのでしょうか。
「ものの備えを確認しよう」では、災害時に「外に出るときに持ち歩くもの」と、「家の非常用持ち出し袋に入れるもの」をまとめています。
この中で「女性が必要なもの、あると便利なもの」として、生理用品や織物シート、携帯用ビデ、中身が見えないポリ袋、メイク落とし、防犯ブザーや笛、使いやすい形状の携帯トイレなどが挙げられています。
さらに避難所で過ごしやすい服装として、温度調整がしやすい重ね着や、スカートよりパンツの着用が勧められています。
衛生面で注意したいのは「避難所でもトイレを我慢しない」「おりものシートを活用する」「生理用品の処分には中身が見えないポリ袋を使う」の3点です。
避難所では、トイレを我慢しがちになるかもしれません。しかし膣炎や膀胱炎などの病気のリスクがあることから、携帯用ビデなどを活用しながら、トイレを我慢しないよう勧めています。
また、下着を毎日交換できない場合も、おりものシートを取り替えることで、清潔に過ごせるといいます。
過去の災害では、女性が性犯罪にあうケースもありました。
ガイドでは、「トイレに行く時などは、周りの女性たちと声を掛け合い、自分がどこにいるか伝えるようにしましょう」「暗がりや死角をなるべく避けて、複数人で行動すると安心です」「何か困ったことがあったら、一人で我慢せず誰かに相談しましょう」と呼びかけています。
また、#8103(性犯罪被害相談電話全国共通番号)などの相談窓口を共有し、何かあった時には一人で抱え込まずに人に相談したり、防犯グッズを身につけたりすることも大事だと伝えています。
さらに「男性も考えよう」として、「自分の身の周りが落ち着いたら、周りで困っている人はいないか意識して見てみましょう」と呼びかけています。
乳幼児がいる家庭が備えておくと便利なものは、授乳用ケープやバスタオル(ストールでも可)、枕やクッション、乳幼児用ミルク、離乳食など。
ミルクを作る上での注意点として、70℃以上での調乳や、洗浄や消毒が難しい時の使い捨て紙コップの使用が勧められています。
さらに、「周囲の人に頼れるところは頼り、自分のニーズを伝える」ことが大事だといいます。
FUKKO DESIGNはこのガイドについて「タイトルは『女性の災害への備え』ですが、女性だけでなく男性も含め、すべての人が知っておいてほしい情報」として、少しでも多くの人に知ってもらい、現場で役立ててほしいと伝えています。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
避難時「特に女性に知ってほしいこと」。災害ではどんな備えや対策が必要?