もっと読みたい>>COP28、石炭火力だけでなく「すべての化石燃料からの脱却」へ。「大きな前進」だが重要なのは「文言ではなく行動」
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催され、12月13日に閉幕した国連の「気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)」。
特に議論が紛糾したのが、化石燃料の扱いについてだ。最終的に表現は弱くなったものの、石炭火力だけでなく、石油やガスを含めたすべての化石燃料からの脱却に初めて合意した。
他にも気候変動による「損失と損害」に特化した基金の運用ルールが具体的に決まったり、「2030年までに再生可能エネルギー容量を世界全体で3倍、エネルギー効率改善率を世界平均で2倍にする」ことが合意文書に盛り込まれたりするなど、いくつかの前進が見られた。
しかし、より重要なのはCOPで決まったことを成し遂げるための「行動」だ。誰が、何をするべきなのか。
COP28に集まった人々が共通して訴えたこととは?動画でお伝えします。
誰に責任があり、何をするべきなのか?
モーリシャスの研究者で、欧州委員会・最高科学顧問グループの副委員長のネボイサ・ナキセノビッチさん。気候変動について誰が一番責任があると思うか問われると、「私たち全員に責任があると思います」と答えた。
「結局のところ、最大の排出元は民間部門であることは明らかで、それはエネルギー産業、農業が主です。ですので私たちは消費者として、産業界が適応するように需要を変えなければならないと思います」
また、炭素価格や、ネットゼロに向けた市場メカニズムなどの適切な手段を法制化する責任を考えると、政治を問題から外すことはできないとナキセノビッチさんは指摘した。
「全員が団結する必要があり、正しいメッセージを伝えるためのメディアや利害関係者の重要性を過小評価すべきではありません。私の観点からすると、メッセージは非常にシンプルです。私たち全員が行動しなければなりません」
化石燃料を忘れるために
国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)事務局長のアルミダ・サルシア・アリシャバナさん。気候変動対策のために、誰が何をするべきか聞くと、「誰もが石炭を含む化石燃料を忘れること」だと言う。
「新しい石炭発電所はもういりません。既に存在する石炭火力発電所を廃止するべきです。再生可能なクリーンエネルギーへシフトし、新しいエネルギーシステムを開発するために投資が必要です」
そのために誰もが責任を持つべきだが、政府が先頭に立つ必要があるとアリシャバナさんは指摘する。
「政府は、政策やプログラムの優先度を高くしたり、インセンティブを提供したり、官民パートナーシップや協力を促進したりすることができます。しかしその他にも、意識を高めてサポートすることは誰もができます。誰もがです」
UAE・アブダビの専門家は
中東最大の環境規制機関・アブダビ環境庁(EAD)の環境エコノミスト、フマイド・カンジさんもまた、「先進国であろうと途上国であろうと、すべての国が気候変動対策を多く講じなければならないと信じています」と話す。
「私たちは、排出削減を非常に早く達成する必要があり、あらゆるレベルでそれを実現する必要があります」
その手段としてカンジさんがまず第一に挙げたのが、原子力発電の可能性だ。「クリーンなエネルギー源」として、「日本や他の多くの国々が、原子力や太陽光発電でUAEと協力できることを期待しています」と語った。
「私たちはまた、世界で最も低い太陽光発電の生産コストを達成していることでも知られています。今後もその改善を続け、太陽光発電が私たちのエネルギー需要に対応できるように向上させていきます」
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このコンテンツは、制作費の一部を一般社団法人Media is Hopeが負担したコラボ企画です。執筆・編集は独自に行っています。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
気候変動対策、誰が何をしなければならないのか。COP28に集まった人々が口を揃えて訴えたこと【動画】