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毎年11月から4月にかけて、入浴中に浴槽で溺れて死亡する事故が多く発生している。
特に高齢者は注意が必要で、入浴中の事故による死者は交通事故の2倍超に上る。
どうしたら入浴中の事故を防げるのか、6つのポイントを政府広報オンラインが発信している。
政府によると、入浴中に意識を失い、そのまま浴槽内で溺れて亡くなる不慮の事故は増えているという。
厚生労働省人口動態統計(2021年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死・溺水の死亡者数は4750人で、交通事故の死者数2150人を大きく上回った。
溺れて亡くなる原因の一つとして、急な温度差による血圧の急激な変化があげられる。
暖房のきいた暖かい部屋から寒い脱衣所に移動して衣服を脱ぎ、浴室も寒い状態だと、血管が縮まって血圧が一気に上昇する。
その後、浴槽に入って体が温まってくると、血管が広がって急上昇した血圧が下がる。
このような急激な血圧の変化で、一時的に脳内に血液が回らない貧血の状態になり、一過性の意識障害を起こす。そして、浴槽内で溺れてしまう。
気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることを「ヒートショック」とも言う。
政府によると、65歳以上の高齢者は血圧を正常に保つ機能も衰えてきている場合があるため、特に注意しなければならない。
一方、持病や前兆がない場合でも事故が起こる恐れはあり、「自分は元気だから大丈夫」と過信しないことが重要という。
主な6つの予防策は次のとおりだ。
①入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく
②湯温は41度以下、お湯につかる時間は10分までを目安にする
③浴槽から急に立ち上がらない
④食後すぐの入浴や、飲酒・医薬品服用した後の入浴は避ける
⑤お風呂に入る前に、同居する家族にひと声かける
⑥家族は入浴中の高齢者の動向に注意する
浴室に暖房器具がない場合は、「シャワーを使って浴槽に湯をためる」「浴槽の湯が沸いたところでかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておく」ことで浴室内が暖かくなる。
また、入浴する際は、足先から肩まで徐々にお湯をかけてお湯の温度に体を慣らし、浴槽から出る時は、手すりや浴槽のへりを使ってゆっくり立ち上がるようにする。
そして、家族が入浴している時は気にかけておき、「いつもより長い」「音がしない」「突然大きな音がした」といった場合は、ためらわずに確認することが必要だ。
もし、浴槽で溺れている人を見つけたら、次のように対応する。
①浴槽の栓を抜き、大声で助けを呼ぶ
②入浴者を浴槽から出す。出せない時は、浴槽のふたに上半身を乗せるなどして沈まないようにする
③直ちに救急車を呼ぶ
浴槽から出せた場合は両肩を叩きながら声をかけ、反応がない場合は呼吸を確認する。
呼吸がなければ胸骨圧迫を開始し、救急車の到着まで続け、人工呼吸が可能なら、胸骨圧迫30回、人工呼吸2回を繰り返す。
ヒートショックを巡っては、日本医師会の公式ユーチューブチャンネルでも「教えて!日医君!冬は特に要注意!ヒートショック」というタイトルで注意を呼びかけている。
https://twitter.com/gov_online/status/1730051522745323853?ref_src=twsrc%5Etfw
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
交通事故の死者の2倍超…「入浴中」に溺れる死亡事故、高齢者は要注意。今日からしてほしい6つの予防策