こちらもおすすめ>>車椅子利用者が使える飛行機トイレ、米で義務付けが拡大「同じアクセスと尊厳を」
アメリカ・マイアミの空港で起きた、車椅子の乱暴な取り扱いに非難が集まっている。
問題になったのはTikTokに11月19日に投稿された動画で、アメリカン航空の従業員が傾斜を使って地上に滑り落とした車椅子が、金属のフェンスに衝突して駐機場に転がる様子が映っている。
地上にいた別の従業員は流れてきた車椅子を停止させようとはせず、地面に転がった後に拾い上げてカートに乗せている。
@haez93 Dang, after i saw them do this and laugh with the first two wheelchairs i had to get it on film. That is not what id call “handling with care” for someones mobility device…. #AmericanAirlines#handlewithcare#mobilitydevice#wheelchair
動画を撮影・投稿した人物は、乱暴に扱われていたのはこの車椅子だけではなかったとキャプションで説明している。
「最初の2台の車椅子も同じように扱い、笑っているのを見て、撮影しなければいけないと思いました。これは移動手段に対する『丁寧な取り扱い』とは呼べません…」
動画はTikTokだけではなくXでも拡散され、障がいのある人たちが、車椅子を利用して飛行機に乗るのがどれだけ恐怖かをシェアしている。
アメリカン航空の広報は21日、ハフポストUS版に送った声明で「移動手段を適切にケアして障がいのあるお客様の自立を支援することは重要であると認識しています。映像は非常に憂慮すべきもので、チームで対応するためより詳細な情報を収集してまいります」と述べた。
相次ぐ車椅子やシニアカーの不適切な取り扱い
飛行機利用時の、車椅子の不適切な扱いは頻繁に起きている問題だ。
米運輸省によると、2023年1月だけで、アメリカの航空会社で871台の車椅子やシニアカーが乱暴に取り扱われた。
アメリカの航空会社で損傷または破壊された車椅子やシニアカーなどの数は、2021年は7000台以上、2022年には1万1000台以上を超えたとUSAトゥデイは報じている。
ボストンの公共ラジオWGBHによると、車椅子の修理には数百〜数万ドルの費用や、数週間〜数カ月の期間がかかる場合もあり、損傷は障がいのある人々の生活を妨げる。
ピート・ブティジェッジ運輸長官も今回の動画に憤りを表明し、捜査するとXに投稿している。
「これはまったく許容できません。我々は捜査を行います。こういったことがあるからこそ、我々は車椅子を利用する乗客を保護するための行動を取る必要があるのです。誰もが安全かつ尊厳を持って旅行する権利があります」
This is totally unacceptable. We'll be investigating. This is exactly why we are taking action to protect passengers who use wheelchairs. Everyone deserves to travel safely and with dignity. https://t.co/K5HO5QIWLK
— Secretary Pete Buttigieg (@SecretaryPete) November 20, 2023
米運輸省は、障がいのある人たちが飛行機を安心して利用できるようにするための制度づくりに取り組んできた。
1986年に制定され、2000年に改正された航空アクセス法は、航空会社に障がいに基づく差別を禁じている。
さらに運輸省は2022年、障がいのある旅行者が円滑に航空旅行をする権利を示す「障がいのある航空旅客の権利章典」を作成した。
また、2016年に運輸省によって設立された諮問委員会は、障がいのある旅行者にがより航空旅行しやすくするための規制や勧告に取り組んでいる。
2023年7月には、車椅子利用者が飛行機のトイレを安全に利用できるようにするための、航空会社アクセス法改正に関する最終規則を発表している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
車椅子を地面に衝突させた米航空会社の職員に非難。「まったく許容できない」