胃ガン細胞の抑制効果や抗菌効果が報告されている調味料「わさび」。今回さらに、高齢者の認知機能を改善する可能性があるという研究結果が、科学誌「Nutrients」に掲載されています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:Nutrients ,Science Alert ,Wikipedia ,沢わさびの胃がん細胞増殖抑制成分の精製と構造解析
最近の研究では、スパイスやハーブといった調味料には健康効果があることが実証されています。例えばショウガとニンニクの摂取は、認知症の有無にかかわらず、高齢者の認知機能を改善することが以前の研究で示されていました。
本わさびに含まれる希少成分である成分である「6-MSITC」は、抗酸化作用と抗炎症作用があり、細胞の損傷を遅らせ、細胞を保護する高価があるものです。これまで6-MSITCが認知機能に有益であることは、少数の研究で示されているものの、認知機能の低下や認知症などの関連問題のリスクが最も高い高齢者では検証されていませんでした。
東北大学スマート・エイジング研究センターなどの研究者らは今回、この6-MSITCが高齢者の認知能力に良い影響を与えるのかどうかを実際に検証しました。
研究チームは12週間にわたり、60歳以上の成人72人を対象に実験を行っています。参加者は無作為に2つのグループに分けられ、1つ目のグループはわさびタブレットを1日1回摂取し、2つ目のグループはプラセボタブレットを摂取しました。
実験終了時、わさびタブレットを摂取した人は、一連の認知テストに基づき、エピソード記憶(過去の出来事を思い出すこと)とワーキングメモリー(一時的に情報を保持すること)のパフォーマンスが有意に向上したとのこと。
一方で、推理力、注意力、処理速度など、認知能力の他の分野では有意差は見られなかったそうです。研究チームは、わさびと6-MSITCが、記憶機能に特に重要な脳の海馬の部分に影響を及ぼしているのではないかと考えています。
「これらの所見は、12週間の6-MSITC摂取が、健康な高齢者のワーキングメモリとエピソードメモリの機能を選択的に増強することを示唆しています」と研究者らは述べました。
研究チームは現在、生物学的、分子レベルで何が起こっているのか、さらに詳しく調べているとのこと。今回の研究では、抗酸化剤や抗炎症剤のバイオマーカーは測定されていないため、わさびがどのような効果をもたらしているのか、なぜそのような効果があるのかについては判明していません。
一方でこの研究は、6-MSITCを含むわさびと記憶機能の向上との間に明確な関係があることを示すものです。研究者らは論文の中で、「認知能力の低い高齢者は、買い物、銀行、料理などの日常生活に困難を感じている」と指摘し、「高齢者の認知機能を改善することは重要」だと主張しました。
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胃がん抑制や抗菌作用だけではない「わさび希少成分」のスゴ過ぎる効果