約6600万年前、エベレストよりも大きな宇宙岩石が現在のメキシコ沿岸に衝突しました。そして大災害の連鎖を引き起こし、最終的に地球上の生物の4分の3が絶滅しました。最近の研究において、この大災害がどのように起こり、恐竜を本当に絶滅させたものは何なのかを、古代の「ブラックボックス」が示唆していていることが判明しました。このブラックボックスについて、海外の科学メディア「Science Alert」が解説しています。
*Category:サイエンス Science *Source:Science Alert ,nature
古代の「ブラックボックス」が示す真実
科学者たちによって、地質学的な「ブラックボックス」が解読されました。このブラックボックスは、小惑星の衝突が微細な塵の噴出を引き起こし、それが太陽光を遮り、地球を冷却し、光合成を停止させ、食物連鎖を破壊したことを示唆していました。この仮説は、1980年に小惑星衝突の最初の兆候を発見した地質学者たちによって提唱されましたが、この時代の岩石サンプルには、地球規模の冬を引き起こすほどの微細な塵が含まれていなかったため、この仮説は2000年代初頭に否定されました。
これまでの研究のほとんどは、白亜紀から古第三紀にかけての厚さ1センチほどの堆積物に基づいていました。しかし、この新しい研究では、ノースダコタ州タニスにある深さ1.3メートルの堆積物から採取された40のサンプルを分析しました。この場所は小惑星チクシュルーブのクレーターから北に3,000キロ離れていますが、衝突後の数年間に塵、煤煙、粒子の噴出がどのように広がったかを捉えています。大きな粒子は微細な粒子よりも小さな角度で光を散乱させるため、研究者たちはレーザーを使って、各サンプルのうち0.8~8マイクロメートルの微細なケイ酸塩の粉塵がどの程度含まれているかを調べました。研究者たちは「微細な塵の寄与が以前評価されていたよりも大きいことを発見した」と述べています。
小惑星が地球に衝突し、その下にある岩石を粉砕したときに発生したこの微細な塵が、幅10~15kmの隕石が地球に衝突したときに放出された粒子の中で「最も致死的」であることを、研究者たちはコンピューター・モデリングを使って発見しました。
さらに、大気中の高濃度の塵は、ほぼ2年間続く地球全体の暗闇を作り出し、植物の光合成を不可能にすることも発見しました。植物がなければ、食物連鎖全体が崩壊してしまうでしょう。例えば、ティラノサウルスのような頂点の捕食者は、植物を主食とする獲物を狩っていました。
この粉塵は、最大で15年間空気中に浮遊し、地球の気温を15℃低下させ、太陽光を遮ることで衝突後ほぼ2年間の光合成停止を引き起こした可能性がある、と研究者らは述べています。また衝突の衝撃は、岩石を蒸発させ、硫黄を含むガスを発生さて、大気圏の高い位置で小さな粒子になったと考えられます。そして、小惑星の衝突によって発生した強烈な熱は、大規模な山火事を引き起こし、大量のすすや灰を空に放出しました。
しかし、研究の結果によれば、冬が続いた主な原因は、硫黄粒子のような物質ではなく、微細なケイ酸塩であったと言います。研究者は以下のように述べています。
We find that the global darkness and prolonged loss in the planet’s photosynthetic activity occur only in the silicate dust scenario, up to nearly 1.7 years (620 days) after impact,” the researchers wrote.This constitutes a sufficiently long timescale to pose severe challenges for both terrestrial and marine habitats.
— 引用:nature訳:地球全体が暗くなり、惑星の光合成活動が長期にわたって失われるのは、ケイ酸塩ダストが衝突後1.7年(620日)近くまで存在した場合に限られることがわかった。これは、陸上と海洋の生息地の両方に深刻な課題をもたらすのに十分なタイムスケールである。
これにより、暗闇と寒さに適応できなかった動物や植物は絶滅した可能性が高いとのこと。一方、柔軟な食事、生息地、生活様式を持つ動植物は、生き残る可能性が高かったでしょう。チクシュルーブ小惑星の衝突はまた、地球上のすべての大陸を襲った高さ1.5キロの巨大津波をもたらし、2004年のスマトラ沖地震の5万倍の地震活動を引き起こしたと考えられています。
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