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パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突が始まってから、現地で取材を続けるジャーナリストらメディア関係者の犠牲が後を絶たない。
人権団体「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ)の発表によると、ハマスがイスラエルに対して大規模攻撃を仕掛けた10月7日以降で、メディア関係者の死者数は36人に上る。このうちパレスチナ人は31人、イスラエル人は4人、レバノン人は1人だった。
このほか、多くのジャーナリストが負傷・行方不明となり、その家族の犠牲も確認されていると報告している。
CPJの暫定調査では、ガザとヨルダン川西岸地区で9000人、イスラエルで1400人、合計1万人以上が死亡したと推定されている。
CPJの中東・北アフリカプログラム・コーディネーターのシェリフ・マンスール氏は声明で、「CPJは、ジャーナリストは危機の時代に重要な仕事をしている民間人であり、紛争当事者によって標的とされてはならないことを強調します」と述べた。
さらに、「この地域全体のジャーナリストは、この胸が締め付けられる紛争を取材するために大きな犠牲を払っています。特にガザにいるジャーナリストたちは、前例のない犠牲を払い続け、急激な脅威に直面しているのです。多くの人が同僚や家族、メディア施設を失い、安全な避難場所や出口がない中、安全を求めて逃げ惑っています」と報告した。
ロイター通信によると、イスラエル軍は10月27日、ガザでのジャーナリストの安全は保証できないと表明している。
CPJのホームページには、犠牲となったジャーナリストたちの氏名と、死亡に至った経緯が公開されている。
殺害されたジャーナリストの中には、メディア組織「Al-Sahel」で働いていたパレスチナ人ジャーナリストのヤセル・アブ・ナムスさんや、パレスチナTVで働いていたナズミ・アル・ナディムさんも含まれている。いずれも、ガザにあるそれぞれの自宅や実家で空爆に遭い死亡した。
パレスチナTVのジャーナリストで特派員のモハマド・アブ・ハタブさんは11月2日、ガザ地区にある自宅でイスラエル軍の空爆に遭い、家族11人とともに死亡したと報じられている。
ハタブさんが殺された直後、同僚のサルマン・アル=バシールさんが番組に出演した。
「私たちの同僚であるモハマド・アブ・ハタブは、ほんの30分前までここに立っていましたが、いまや私たちのもとを去り、彼の妻やきょうだい、そして彼の家族の多くが、この病院内で犠牲者になっています」と語っている。
アル=バシールさんは、現地取材するジャーナリストたちが直面している過酷な状況にも言及。「これ以上耐えられません。私たちは疲れ果て、死を待つ犠牲者であり、次々に死んでいきます。そして誰も私たちやガザでの大規模な惨事、犯罪行為を気にかけてはくれません」と訴えた。
また、「国際的な保護は何もない」とした上で、こう続けた。
「私たちが身に着けているのはスローガンだけで、ジャーナリストを守るものは何一つありません」
「私たちは殺される順番を待っている犠牲者です」
(この記事は、ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました)
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
止まらぬジャーナリストらの犠牲、イスラエルの空爆で家族11人とともに死亡も。「これ以上耐えられない」