こちらもおすすめ>>イーロン・マスクがTwitterで「シスジェンダーは誹謗中傷」と宣言。この言葉の考案者が反論「脅威を感じる人もいる」
テクノロジー界の億万長者であるイーロン・マスク氏に対し、22歳の若者が名誉毀損の裁判を起こした。
この若者はカリフォルニア出身のユダヤ人ベン・ブロディ氏。「ネオナチを装った連邦捜査官だ」という虚偽情報を拡散させられたとして、10月2日にマスク氏を訴えた。
この陰謀論により、ブロディ氏はパニック障害などメンタル面での不調を抱えるようになったほか、ネット上に個人情報をさらされ自宅に戻れなくなるなどの被害を被ったという。
訴状には「これはイーロン・マスク氏による誹謗中傷の一例であり、ベン・ブロディ氏がネオナチ過激派グループのメンバーとして路上乱闘に参加したという虚偽情報を世界に発信した」と書かれている。
問題のきっかけになった乱闘事件
この問題の起点となったのは、2023年6月にオレゴン州で発生したネオナチグループ「ローズ・シティ・ナショナリスト(RCN)」とネオファシストグループ「プラウド・ボーイズ」の乱闘だ。
この乱闘を捉えた動画には、RCNのメンバーがフェイスマスクを引き剥がされる様子が映っており、ネット上でこの人物探しが行われた。
その中で広まったのが、「マスクを剥がされたRCNのメンバーは実はナチを装った連邦政府の捜査官だ」という陰謀論で、槍玉に挙げられたのがカリフォルニア州の大学に通っていたブロディ氏だった。
訴状によると、マスク氏はブロディ氏がネオナチを装った連邦政府捜査官だという虚偽情報に反応。
この陰謀論が書かれた投稿を肯定するようなコメントをして拡散させ、さらにブロディ氏の行為は「偽旗作戦」だとも述べたという。この投稿は今もXに残されている。
訴状でブロディ氏の代理人は「マスク氏は、匿名の極右過激派Twitterアカウントの虚偽投稿に基づいて、損害を与える誹謗中傷行為に及んだ」と主張している。
「マスク氏がベン・ブロディ氏に誹謗中傷を浴びせた結果、深刻な個人攻撃が起き、彼の評判に永遠に残る傷を与えた」
ブロディ氏は、「乱闘事件に関わったネオナチのメンバーだ」という情報が拡散したあと、否定する動画をInstagramに投稿し、乱闘当日カリフォルニアにいたことを示すデビットカードの領収書を提示したものの、誹謗中傷が止むことはなかったという。
ブロディ氏は、自身の携帯電話の番号と家の住所がネット上にリークされた後、家族と自分は自宅に戻れなかったと7月のVICEのインタビューで説明している。
ブロディ氏の代理人を務めるのは、テキサス州ファラー&ボール法律事務所のマーク・バンクストン弁護士だ。
バンクストン弁護士は、2012年に発生したサンディフック小学校銃乱射事件を「でっちあげ」と主張し続けた極右の陰謀論者のアレックス・ジョーンズ氏を訴えた被害者の親のうちの2人の代理人も務めた。
サンディフック小学校銃乱射事件では、20人の児童と6人の大人が死亡しており、裁判でジョーンズ氏に450万ドルの損害賠償支払いが命じられた。
今回の裁判で、ブロディ氏はマスク氏に対して100万ドル(約1億5000万円)以上の損害賠償を求めている。
訴状には「マスク氏の誹謗中傷により、ベン・ブロディ氏はこれまでも、そしてこれからも損害を受け続けるでしょう。マスク氏の行動のせいで、ベン・ブロディ氏は裁判で証明されるべき金額に値する多大な損害をこれまでも、そしてこれからも被るでしょう」と書かれている。
ハフポストUS版はマスク氏の弁護士にコメントを求めているが、現時点でまだ回答はない。一方、バンクソン氏は「裁判でマスク氏の責任を問う」とハフポストUS版への声明で述べた。
「私は、この若者がネオナチの中傷ではなく、イーロン・マスク氏に立ち向かった人物として知られるようにするつもりです」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
イーロン・マスク氏を22歳若者が名誉毀損で訴え。陰謀論で被害を受けたとして1億5000万円を請求