※注意:この記事にはドメスティック・バイオレンスの画像や表現が含まれます
アメリカ・ペンシルベニア州で、立場を悪用して元恋人を精神病院に強制的に入院させた疑いがあるとして、警察官が逮捕された。
ダウフィン郡地区検察局によると、37歳のロナルド・K・デービス容疑者は元恋人のM.F.さんが自殺しようとしていると主張し、身柄を拘束して強制入院させた疑いが持たれている。
しかし、強制入院させられた病院で、M.F.さんは自傷の恐れはないと判断された。
また、容疑者と交わしたメッセージから、容疑者がM.F.さんを支配するような行動をとっていたこともわかったという。
当局は、「(容疑者は)被害者を見つけ出し、コントロールや攻撃するために(警察の)システムを意図的に使用した」としている。
映像にうつっていた身柄拘束
起訴状によるとデービス容疑者は8月21日、同僚の警察官らに「M.F.さんから自殺をするという連絡があった」と伝え、それに該当するメッセージを見せた。
提示したメッセージには「私のメンタルヘルスはどうでもいい。どうせ私は無価値で歳をとっていてバカで無教養。ここが死ぬべき場所だというのならそれでいい」「あなたが私の服を人質にしているから着るものさえないし、もう裸でやる。良い人生を」と書かれていたという。
デービス容疑者が、メンタルヘルスの問題を理由にM.F.さんを強制入院させられるか同僚の警察官らにどうか尋ねたところ、郡の危機介入チームに連絡するように言われたと起訴状には書かれている。そのため、デービス容疑者は非番中にもかかわらず、仕事のメールを使用して州の警察官だと名乗り、危機介入チームに連絡したという。
その後、M.F.さんの強制入院が承認されると、デービス容疑者は非番で私服だったにもかかわらず「自分で対処する」と同僚らに告げ、一般市民のケリー・ティーターさんの協力を得てM.F.さんの居場所を探した。
起訴状によると、デービス容疑者はM.F.さんをピクニック場で見つけ、無理やり自分の車に運んだ。ティーターさんは、デービス容疑者がM.F.さんを拘束する様子を撮影するよう容疑者自身から依頼されたという。
検察が公開した映像で、M.F.さんはなぜ自分が拘束されなければいけないのか何度も尋ね、押さえつけようとするデービス容疑者から逃れようとしている。
また映像には、抵抗するM.F.さんを、デービス容疑者が引きずったり、地面に押し付けたりする場面も映っており、M.F.さんが「息ができない」と訴える声も聞こえる。
一方、起訴状にはこの時の様子について「(M.F.さんは)、なぜ自分が拘束されているのか理解していないように見える」と書かれており、ティーターさんも「M.F.さんは武器を持っているようにも自傷するようにも見えなかった」と警察に証言している。
その後M.F.さんは病院に連れて行かれ、身体的な傷の治療を受けた後に病院の精神科に入院させられた。警察はM.F.さんが治療した顔と体のあざについて、デービス容疑者に地面に押し付けられたことが原因としている。
捜査でわかったこと
デービス容疑者は「M.F.さんが自殺するというメッセージを送ってきた」と主張して強制入院させたが、メッセージには自殺や他殺をほのめかすような言葉は見当たらなかったという。起訴状には、デービス容疑者の主張は「仮定に基づいたものに見える」と書かれている。また、病院もM.F.さんには、自殺や殺人を考えている兆候は見られなかったと述べている。
起訴状によると、M.F.さんは入院から5日後の警察の取り調べで「デービス容疑者と約4カ月交際して別れた」と明かした。交際期間の終わりの方で、ふたりはイデオロギー的な意見や、恋愛関係における役割の違いについて議論するようになったという。
さらにM.F.さんは、デービス容疑者が自分を支配するような行動をとっていたほか、M.F.さんを「頭のおかしい人物であるかのように仕立て上げる」と脅したとも述べている。
M.F.さんが警察に見せた、メッセージのやり取りには、デービス容疑者がM.F.さんの元恋人に嫉妬しているかのようなメッセージも含まれていたという。
当局は、取り調べからM.F.さんが自分を傷つけるような行動をとったわけではないことが明らかになったとしている。
起訴状には「メッセージに書かれていたのはデービス容疑者との関係や、彼の支配的な行動への不満(そして関係を終わらせたいという願い)で、自分自身を傷つけようとする意図ではなかった」と書かれている。
デービス容疑者は停職処分となり、9月21日に逮捕・起訴された。10月2日に公判が予定されている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
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米警察官、元恋人を「自殺する」と主張し強制入院させる。暴力的な身柄拘束の様子が公開