<あわせて読みたい>“不法滞在の外国人”という言い回しは不正確。「在留資格がないことは犯罪ではない」一体どういうこと?【詳しく解説】
日本で生まれ育ち在留資格を持たない外国人の子どもに対し、一定の要件を満たせば在留を認める「在留特別許可」を与えるとする政府の方針を受け、入管問題に取り組む弁護士有志らが8月25日、衆議院議員会館(東京)で集会を開いた。
付与の対象を日本生まれや未成年者などに限定する線引きには問題があるとして、日本で成人した人を含め、在留資格のない全ての子どもたちに一律に与えるよう求めた。
「在留特別許可」は、入管法に基づき、特別な事情がある場合に法相の裁量で非正規滞在などの外国人に在留を許可する措置。
政府の方針では「日本で生まれ、小中高校で教育を受けている18歳未満」が対象だ。未就学児や、外国で生まれて日本で成長した子ども、すでに成人している人は付与されないことになる。
さらに、「偽造在留カードの使用や偽装結婚、薬物使用などの違反」「懲役1年超の実刑判決を受けた」といった親の事情がある場合、その子どもも対象外となる。
政府は、子どもに在留特別許可を付与するケースでは、その親の在留も認める方針を示している。
集会では、幼少期に日本に来た子どもや、日本で長年生活して現在は成人している人が発言した。
6歳で来日した中東出身の高校生は、「日本に来て10年になります。大学に進むためにお金を稼いで頑張りたいと思っても、(現在は「仮放免※」の状態で暮らしており、就労が認められないので)それができなくて大変な状況です。日本で生まれた子どもだけでなく、全員にビザを与えてほしい」と訴えた。
(※)仮放免・・・在留資格はないものの、入管施設での収容を一時的に解かれる措置のこと。
9年前に日本に来て、仮放免中の19歳の女性は「航空会社で働くことが夢。育ってきた日本で仕事に就いて、この国のために頑張りたい」と話した。
2歳から日本で暮らす中学2年生は、4人きょうだいのうち自分以外は日本生まれだと言い、「(家族の中で)私だけ在留特別許可が出ない可能性がある」と不安を口にした。
政府の方針通りに運用されれば、ひと家族の中で在留が認められる子どもとそうでない子どもが出る恐れがある。
駒井知会弁護士は「これまで入管は、きょうだいのうち一部にしか(在留資格を)与えないという対応もしているため、今回の措置でも家族の分断が懸念されます」と主張する。
指宿昭一弁護士は、「未就学児やすでに成人している『元未成年者』などが対象外とされるのは、全く合理性がない」と指摘した。
「在留特別許可」の付与に関する政府の方針を巡っては、対応を評価する声がある一方で、見直しを求める動きもある。
「全国難民弁護団連絡会議」は8月上旬の声明で、「不適切な条件によって保護される者とそうでない者の線を引くことは、あってはなりません。子どもは国籍、年齢にかかわらず平等であり、保護されるべき存在であり、その最善の利益を第一に考慮しなければなりません」と述べた。
NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」は、「人道的な視点から、この社会を『居場所』として暮らす全ての非正規滞在者に対し、在留特別許可を適用するよう強く求めます」と要望している。
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「家族の分断を懸念」在留資格ない子どもへの在留特別許可、「日本生まれ」などの線引きに不安の声