<関連記事>“不法滞在の外国人”という言い回しは不正確。「在留資格がないことは犯罪ではない」一体どういうこと?【詳しく解説】
日本で生まれ育つも在留資格を持っていない外国人の子どもに対し、「在留特別許可」を原則として付与するという方針を政府が発表したことを受け、入管問題や難民支援に取り組んでいる弁護士有志の会が8月7日、記者会見を開いた。
在留特別許可の付与が決定したことを「評価する」とした一方で、対象を「日本生まれ」の18歳未満に限定したり、親が不法入国した場合などを除外したりする線引きには問題があると批判。「親の事情ではなく、子どもを基準にして在留特別許可の判断をするべきだ」と訴えた。
「在留特別許可」は、入管法に基づき、特別な事情がある場合に法相の裁量で非正規滞在などの外国人に在留を許可する措置。
斎藤健法相は4日、日本で生まれ育ちながら強制退去処分となり、在留資格がない外国籍の子どもたちに対し、在留特別許可を与える方針を正式に発表した。
「日本で生まれ、小中高校で教育を受けている」18歳未満が対象。子どもに在留特別許可を付与するケースでは、その家族の在留も認める方針を示している。一方で、対象外となる親の事情として、
・不法入国
・偽造在留カードの使用や偽装結婚、薬物使用などの違反
・懲役1年超の実刑判決を受けた
といったケースを挙げている。
駒井知会弁護士は記者会見で、「かなりまとまった数の子どもとその家族に在特が認められることはかつてなく、発表があったこと自体は評価したい」と前置きした上で、政府が示した線引きの問題点を挙げた。
例えば、政府の方針は「日本で生まれた」子どもを対象としているため、外国で生まれて幼少期に来日したケースは認められないことになる。
駒井弁護士は、「赤ちゃんや小学生の頃に日本に来て大きくなった子どもたちを取りこぼすのでしょうか」と疑問を投げかけた。
さらに、親の前科などで在留特別許可の可否が決まることについて、駒井弁護士は「子どもの権利というものは、そんなに軽いものではありません」と訴えた。
「親が過去にしたことによって、子どもの運命が変わってしまうのを許してはいけません。親のやったこと対し、子どもに一律で不利益を与えるのは大きな問題ある」として、条件の見直しを求めた。
6月の国会で成立した改正入管法では、送還ルールが強化された。従来は難民認定申請中の強制送還は停止されていたが、今回の改正により、申請が3回以上の場合は送還が可能となる。
政府は、改正入管法の成立により、在留資格がないまま滞在が長引く子どもは今後増えないという見込みから、在留特別許可の付与は「今回限り」の対応と説明している。
これに対し、指宿昭一弁護士は「私は全くそうは思わない」と反論。「(改正入管法の運用が始まった後に)入管として思うように強制送還が進まない時に、こうした対応を取るつもりはないのか。それは大きな問題だ」と指摘した。
対象を18歳未満としていることについても、有志の会は「ここに至るまでに大人になってしまった人がたくさんいるにも関わらず、その人たちは一切救われない」として、救済措置を求めた。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「『日本生まれ』で線引きはおかしい」在留資格ない子どもの特別許可、条件に批判の声