「G7広島サミットの成果でもある『分断や対立ではなく国際的な協調』に導くべく、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を同志国との間で堅持をしていくための連携を確認する機会にしたい」
岸田文雄首相は7月11日、こう語ってNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議などに出席するため、ヨーロッパに向けて意気揚々と羽田空港を飛び立った。
「岸田首相の支持率が下落している中、国内政治の課題に対処するための具体的な戦略が求められています。G7広島サミットでの成功体験がある外交で稼ぐほかないのです」(政治担当記者)
その目玉のひとつが、ウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談だった。しかし終わってみれば「会談」ではなく「懇談」という結果に。
「永田町用語では『立ち話』も『懇談』です。今回、G7とウクライナとの間で支援に関する共同宣言を発出しましたが、その会合が長引いたため、短時間の懇談になったとのことでした。岸田首相が期待していた結果が得られなかったようです。」(政治ジャーナリスト)
自民党関係者からも「さんざん『首脳会談』とあおっておいて、会談なしなんて赤っ恥だ」という声も上がる。具体的な成果については、まだ日本国民に十分に伝えられていないまま、岸田首相は7月14日午後に帰国。その翌々日の7月16日午前、今度は弾丸ツアーのようにサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールの中東3カ国に向かった。エネルギー安全保障などを話し合うため「首脳会談」をおこなうというが、今度は大丈夫なのだろうか。およそ40の企業、機関が同行して、経済関係強化も図るという。
しかし国内に目を向ければ、連日の豪雨による未曾有の災害に見舞われている。NATOの首脳会談に向けて出発した前日の7月10日には、九州地方で土砂災害が発生、多くの家屋が飲み込まれ、行方不明者や死者などが出た。そして中途3カ国へ出発した16日には、東北地方が豪雨に見舞われた。
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