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アメリカの人気YouTuber、コリーン・バリンジャーがファンと不適切な交流を持ち、「グルーミング」していた、という告発が相次いでいる。
36歳のバリンジャーは、音痴な歌とぎこちないダンスが特徴的なキャラクター「ミランダ・シングス」で知られる人気YouTuber。彼女のYouTubeすべてのチャンネルを合わせると、約2000万人のフォロワーがいる。
バリンジャーは一見、子ども向け動画のホストにピッタリだ。LGBTQ+のアライであり、インクルーシビティやボデポジティブを公言し、病気の人々を支援している。
しかしその裏で、若いファンらと不適切な交流を行なっていたという、複数の証言が集まっている。
6月初め、バリンジャーの長年のファン数人が、彼らがまだ10代の頃に彼女と親密な関係を持ち、彼女の権力に利用され操られていたとSNS上で発言した。
証拠として、彼らはバリンジャーとのプライベートな会話のスクリーンショットを公開した。
こうした元ファンらは今、自分たちを被害者だと感じている。
バリンジャーと若いファンらの間で交わされたとされるプライベートな会話は、彼女の表向きのイメージとはかなり違う。会話の中で彼女は、体型を批判したり、他のファンについてゴシップを言ったり、自分の恋愛関係について個人的な内容を明かしていたようだ。
バリンジャーは動画の中で、「疑惑」を否定している。
アダム・マッキンタイヤさんがバリンジャーのファンになったのは2012年、まだ9歳の時だった。2013年には「ミランダ・シングス」のTwitterファンページを作り、全ての時間をそれに費やしていたと自身のYouTube動画で述べた。
そして2016年、オンラインで2人の交流が始まった。当時バリンジャーは、ファン数人に彼女の「ダサくて着てない洋服」を送るという企画をしており、選ばれたマッキンタイヤさんには郵便でブラジャーとパンツが送られてきたという。(2020年の動画で、バリンジャーはこの行為について認め、「全くもってバカな行動だった」と述べた)
主にTwitterのDMで行われていた2人の交流は次第に親密になり、2017年には「良い友達」になっていたという。当時まだ14〜15歳だったがマッキンタイヤさんに、バリンジャーはセックスについての会話もしてきたという。
2人だけの会話以外にも、Twitter上で他のファンたちと共にバリンジャーと会話できる特別な小さなプライベートチャットグループにも入っていたという。
そのチャットでは、さらに個人的な話もされていたようだ。
当時人気YouTuberでバリンジャーのパートナーだったジョッシュ・エヴァンスとの関係についてもチャットで語り、エヴァンスが「精神的に虐待する人」だと話したという。(エヴァンスはハフポストとのインタビューで否定している)
その約1週間後、2人は離婚を発表。バリンジャーは精神的虐待については何も語らず、冷静さを保ちエヴァンスに敬意を払うようファンに呼びかけた。
一方チャットでは、バリンジャーは頻繁に同情を求め、エヴァンスが虐待的だという話をしていたとマッキンタイヤさんは話す。そうした会話を受け彼は、オンラインで彼女を擁護しジョッシュを攻撃した。
そしてその後、バリンジャーとの友情が彼の生活を乗っ取っていったという。
当時16歳だった他のチャットメンバーの1人も、元々はファンだったものの、次第にバリンジャーを守るネット上のボディガードのように感じるようになったと話す。
ハフポストUS版とのインタビューでエヴァンスは、バリンジャーのファンから離婚後に殺害予告が送られ始めたと述べた。しかしバリンジャーのファンが秘密裏でゴシップを展開していたと知ったのはかなり後になってからだという。
「彼女は自分を代弁するためにファンを利用していたんだ。彼女が公で言わなければ、自分に跳ね返ってこないからね」とエヴァンスは述べ、精神的虐待についても否定した。
マッキンタイヤさんはその後エヴァンス氏に対し、ネガティブな批判キャンペーンを広めたことをYouTubeビデオで公に謝罪した。
もう1人の元ファン、ジョニー・シルヴェストリさんの「ミランダ・シングス」との出会いは、彼が高校1年、15歳のとき。彼は学校に友達がおらず、シングスがその空白を埋めてくれたという。
Twitterでファンアカウントを作り、すぐにバリンジャーと個人的な会話をするようになった。オンラインではそこまで頻繁にやり取りはなかったようだが、その後の体験はマッキンタイヤさんと似たものだった。
シルヴェストリさんによると、2人の関係が進展するにつれ、バリンジャーのメッセージはより個人的なものになっていったという。
シルヴェストリさんの両親は、彼がバリンジャーの大ファンであることは知っていたが、どれほど親しくなっていたことや、その関係が不健全になりつつあることにはほとんど気づいていなかった。
バリンジャーの不適切なやりとりは、公共の場でも行われていた。
2018年に開催された「ミランダ・シングス」のショーで、当時16歳だった少女が、「ヨガ・チャレンジ」という企画に参加するためにステージに呼ばれた。チャレンジでバリンジャーは、短いロンパースを着ていた彼女に仰向けになるよう指示した。
少女は戸惑ったものの、「彼女をとても尊敬していたし、信頼していたから」と指示に従ったという。しかし横になると、バリンジャーは彼女の足をみんなに見えるよう大きく開いた。
その後少女は立ち上がり、その場は終わったが、起こったことにショックを受け、人々にジロジロ見られ恥ずかしく感じたと語った。
それ以来、彼女はバリンジャーのYouTube動画を見ていないという。
ハフポストUS版はバリンジャーに対し何度もコメントを求めたが、彼女の広報やマネージメントチームも含め、現時点で誰からも返答はない。
バリンジャーはこの数週間、YouTubeチャンネルに動画を投稿していない。6月上旬に新たな疑惑が明るみに出た直後から、新たなコンテンツの投稿を停止しているようだ。
彼女がファンと交流を始めたのはYouTube初期の頃で、「人気YouTuber」はまだ、新しいコンセプトだった。ソーシャルメディアはクリエイターとファンを一瞬で繋げ、当時は多くのフォロワーを持つYouTuberから直接返信があることも珍しくなかった。
エヴァンスは、ルールのない中でのそうした交流について「振り返ってみると、それは危険なことだ。不適切に受け取られることもあるし、実際に多くが不適切だった」と言う。
「10代の若者や子どもたちは、何が不適切で、やめた方が良いのかがわからない。それは大人の仕事だ。悲しいことに、誰もその仕事をしていなかった」
マッキンタイヤさんは2020年に、YouTubeでこうした疑惑の一部について語っており、バリンジャーに批判の目が向けられた。
バリンジャーは疑惑を受け、動画でマッキンタイヤさんに下着を送ったことを謝罪したが、他の若いファンをグルーミングしていたという疑惑については否定した。
だが当時、コミュニティーの中で波紋を呼ぶことはなかった。
しかし2023年6月4日に公開されたマッキンタイヤさんのフォローアップ動画は注目を浴び、更なる告発が相次いでいる。
「コリーン・バリンジャーはファンをグルーミングする」
マッキンタイヤさんは最近のYouTube動画で語った。
「感情的に、自分の利益のためにファンを手なづける。彼女は僕に対してそうだった。僕はこれについて公言します」
こうした告発報道の数日後、バリンジャーは10分間の歌動画でこの疑惑を「有害なゴシップ」と否定。
歌の中で彼女は、ファンたちとメッセージはしていたが、それは「不気味」なものではなく、「おかしなおばさん」のようなノリだったという。
この曲にはファンへの謝罪の言葉はなく、以下のような内容を歌っている。
「私はグルーミングしたりしない。ファンに返信しちゃいけないことを理解していなかったただの負け犬で、多くの人が思っているような捕食者ではない」
「私が100%悪かったと言って欲しいんだろうけど、悪いけどそれはしない」
しかしその後も告発は続き、マッキンタイヤさんとシルヴェストリさんはバリンジャーからのメッセージの中には、他のあるYouTuberのヌード写真や動画が含まれていた事を明かした。
そのYouTuberはバリンジャーと長年の友人だったというが、「許さない」「もう付き合いはない」と自身の動画で述べている。
バリンジャーは全米でコメディツアー中だったが、7月13日以降に予定されていた残り11公演はキャンセルされた。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
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米人気YouTuberに「グルーミング」疑惑 元ファンが相次いで告発