合わせて読みたい>>通園バス「置き去り」防止装置、設置率が5割強にとどまる。都道府県での差もあらわに【こども家庭庁調査】
こんな調査結果が明らかになった。
近年、子どもの置き去り事故が相次ぎ、国は2023年4月から送迎バスに置き去りを防止する安全装置の設置を義務付けた。
しかし、設置率はまだ「十分とは言えない」状況だ。
調査結果を受け、専門家は「多くの人が依然として自分の身には起こらないと考えている。『人は誰でも間違う』という考え方に基づき、事故が起きないようにする仕組みが重要」と指摘した。
子どもの置き去り検知システムを提供する「三洋貿易」(東京)が7月5日、昨年に続いて「子どもの車内置き去り実態調査」(2023年)を発表。
幼稚園・保育園で送迎を担当する267人(20〜60歳以上)が 、2023年5〜6月にオンライン上で回答した。
調査結果によると、「園児の車内放置による熱中症が毎年のように発生していることを知っているか」という設問には、95.9%が「知っている」と答えた。
ただ、9割超が熱中症の危険を認識しているにもかかわらず、「送迎バスに園児を残したまま車を離れた」と回答した担当者も4人(1.5%)いた。
前回調査の15人(5.6%)よりは改善しているが、今回の4人のうち1人は、園児を車内に残していることを「認識していなかった」と答えている。
どのくらい車内に残していたのかは定かではないが、置き去り事故が発生したということだ。
また、「あなたの勤務する園で、無意識のうちに車内に園児が取り残されることが発生すると思うか」という問いに、24%が「発生すると思う」と答えたことも判明した。
逆に、76%は自分の園では発生しないと思っているということだが、「車内に園児だけが残されることは今後も発生すると思うか」については、54.3%が「発生する」や「増加する」と回答。
つまり、自分が勤務する園では7割超が無意識の置き去り事故は発生しないと答えたが、5割超は今後もどこか別の場所で事故が起きると思っているということになる。
「園児だけが車内に残される理由」(複数回答可)は、「送迎担当者や職員の意識が低いから」が56.6%と最多で、「人手不足だから」が49.1%、「業務過多だから」が42.3%と続いた。
NPO法人「Safe Kids Japan」の山中龍宏理事長は「『自分だけは大丈夫』という考え方はあらゆる事故において共通している」と指摘。
その上で、「基準づくりや製品開発など、事故が起きない仕組みが重要。送迎バスへの安全装置設置に続いて、圧倒的に台数が多い自家用車における対策強化も望まれる」と調査結果にコメントを寄せている。
子どもが送迎バスに置き去りにされる事故をめぐっては、2021年に福岡県中間市でバスに男児(5)が置き去りにされ、熱中症で死亡した。
その1年後の22年にも、静岡県牧之原市で女児(3)がバスに置き去りにされ、熱中症で死亡した。
この事故を受けて、国は22年10月に緊急対策を取りまとめ、23年4月から置き去りを防ぐ安全装置の設置を義務化。
可能な限り23年6月末までに設置するよう求めてきたが、6月末時点の設置率は全国で55.1%にとどまっているという。
今回の調査でも、「無意識に園児を残したまま車を離れた」と回答した送迎担当者も1人いた。
「人は誰でも間違う」という考え方のもと、一刻も早い安全装置の取り付けが望まれる。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「うちは大丈夫。でも、事故は今後も起きる」園児のバス置き去り、調査で分かった「自分だけは…」の危険性