一方で、梅雨明け前から蒸し暑さが続き、今週も気温の上昇が予想されている状況で、熱中症予防のためにエアコンの適切な使用も求められます。
猛暑に備えて、無理なくできるエアコンの節電対策にはどのような方法があるのか。ダイキン工業コーポレートコミュニケーション室広報グループの重政周之(しげまさ・ちかし)さんに伺いました。
電力需給のひっ迫と電気料金の上昇もあって、エアコンの節電に取り組みたいという思いは切実です。しかし、具体的にどのようにすればいいのかわからないというのが実情です。
「ダイキン工業が2022年に行った調査では、約9割の人が『この夏、昨年よりも省エネ・節電に取り組みたい』との回答を寄せています。
一方で『上手に節電できる自信がない』という人は6割以上にのぼっています。『電気代高騰により、エアコンの使用を控えようと思っている』という人も、半数以上に達しています。
しかし、この夏の気温が『平年並みか、高い』と予想されているなかで、無理してエアコンの使用を控えることは、熱中症などを引き起こすリスクを高めてしまうので、要注意です」(重政さん)
夏場のエアコン(冷房)の使用は、どのくらいの電力を消費しているのでしょうか。
「資源エネルギー庁の調査では、夏の日中(14時ごろ)の一般家庭における電力消費はエアコンが最大で約6割(58%)を占めているそうです。夏場のエアコンの使用による消費電力の増加と環境への悪影響に加えて、電力料金の上昇による家計の負担増も無視できない状況です」(重政さん)
「まず、フィルターの掃除を行ってください。エアコンの冷房は、室内機が周囲の空気を取り込んで内部で冷やしたのち、室内に戻すことで室温を下げるという機能です。
室内機の内部にあるフィルターは取り込む空気の中に漂うホコリを止める役割を果たすものです。フィルターにホコリがたまると室内機を通る空気の量が減り、室温を下げるのに時間がかかってしまいます。その分だけ無駄な電力の消費につながってしまうのです。
フィルターは2週間に1度は掃除してください。フィルターを1年間掃除しないままでエアコンを使用すると、約25%も電気代がアップしてしまう場合もあるのです」(重政さん)
室外機周辺の空気の流れを確保することも大切だといいます。
「室外機の吸込口や吹出口がふさがれると、外に熱を放出するときなどにエアコンに負荷がかかり、運転効率が下がります。室外機にカバーをかけたり周辺に物を置いたりせず、室外機の周囲は風通しをよくしておきましょう。
また、室外機は部屋の中の熱を外に放出する役割を持ちますが、直射日光や地面からの照り返しなどで周りの温度が高いと、熱を放出するのに負担がかかり、多くの電力を消費します。
室外機から少し離れたところに植木を植える、『よしず』を立てかけて直射日光を防ぐ、といった工夫をするといいでしょう」
室外機で注意したいことがもう1点あります。
「室内機で集めた熱を室外機から追い出す際、室外機の背面や側面にある“熱交換器”と呼ばれる場所で外気と熱交換しています。室外機周辺の空気の温度が高くなりすぎると、運転効率が下がるので、その場合は室外機のまわりに適度に水をまいて空気を冷やしてあげる “打ち水”なども有効です」
「使い方」による節電のポイントも伺いました。
「エアコンの風量を『自動』にしておくことがおすすめです。風量を弱めた運転はファンの回転音が静かで節電のイメージがありますが、風量が少ないと設定温度まで室温を下げるのに時間がかかってしまい、無駄な電気代がかかってしまいます。
また、風向は『水平』か『上向き』にしてください。冷たい空気は部屋の下部にたまりますので、冷気が天井から下へ降りていきながら室内の温度ムラを抑えてくれるようになります」(重政さん)
熱中症予防のためにも「無理な我慢」は禁物です。フィルターや室外機のお手入れなどのエアコンの節電対策を行って、省エネと電気料金の節約に役立ててください。エアコンの適切な使用で、予想される厳しい夏の暑さと電力のひっ迫をしのぎましょう。
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