最近、YouTubeが広告を表示させないツールである広告ブロッカーを禁止するテストを行っています。広告ブロッカーが禁止されるとユーザーは広告を見るか、YouTubeプレミアムに加入しなければなりません。一見するとYouTubeは、広告ブロッカーを禁止することによって稼げるように思えます。
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しかし、広告ブロッカーを禁止することによってYouTubeは逆に大きな損失を受ける可能性があります。その理由について海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:Logically Answered,wikipedia
「広告ブロッカー」を禁止するリスクとは?
2021年時点で、世界中のインターネットユーザーの42.7%がAdBlockなどの広告ブロッカーを利用しています。YouTubeの月間アクティブユーザー数は20億人のため、もし仮にユーザーの10%しか広告ブロックを利用していなくてもその数は2億人です。つまり、YouTubeは広告ブロックによって莫大な損失を得ているということです。
そのため、YouTubeが広告ブロックを禁止したいと思うのは普通の考えです。しかし、広告ブロックを禁止することによって複数の問題が発生する可能性があります。
ユーザーからの怒りを買う
広告ブロッカーを利用してきたユーザーは10年以上、無料で広告無しのYouTubeを見てきました。当然、YouTubeが広告ブロックを禁止したら、それらのユーザーは激怒するでしょう。そして、YouTubeプラットフォームのあらゆる欠点に怒りをぶつけるはずです。
例えばYouTubeがオススメする動画に対してです。YouTubeは時々、ランダムで動画をユーザーにオススメします。広告ブロックを使い無料で広告無しのYouTubeを見ていた場合、特に興味がない動画がオススメされても文句を言うユーザーは少ないです。
しかし、広告ブロッカーが禁止されて広告を必ず見るか、YouTubeプレミアムに加入しなければならなくなった場合、興味のない動画がオススメされると「YouTubeのアルゴリズムはどうなっているんだ」と文句を言い出すユーザーが増えるはずです。
このように広告ブロッカーを禁止することによって、同じサービスを提供していてもユーザーの反応は変わってしまうのです。
そもそも「全面禁止」は実行できない
Chromeのウェブストアに複数の広告ブロックがあり、それぞれ何億もダウンロードされているという事実は、人々が気に入らないルールを回避しようとすることを示しています。
もしYouTubeが広告ブロッカーを禁止しても、ユーザーは広告無しでYouTubeの動画をストリーミングできるアプリをダウンロードするか、何かしらのサードパーティアプリケーションを通じて動画をダウンロードするようになるでしょう。YouTubeはプラットフォーム上の整備はできても、プラットフォーム外の整備はできないのです。
もし、プラットフォーム外のツールが普及すると、ユーザーの多くはYouTube以外でYouTubeの動画を見るようになります。これはYouTubeにとって大きな問題です。
YouTube離れが加速する可能性
長い間、YouTubeは誰もがアクセスでき、完全に無料だったため他社が競争することは不可能でした。しかし、YouTubeが広告ブロッカーを取り締まると、競合他社は「広告のない私たちのプラットフォームに来てください」と言えるようになります。
広告ブロッカーの禁止を不満に思っているユーザーにとって、そのような競合他社は魅力的に映るでしょう。つまり、YouTubeが自分たちの独占を守りたいのなら、広告ブロッカーを許可するのが皮肉にも最善策だということです。
オリジナルサイトで読む : AppBank
YouTubeの「広告ブロッカー全面禁止」は本当に実行されるのか?