パンデミックを皮切りに、教育現場を中心に大量に導入された「Chromebook」。しかし導入から時間がたった現在、その多くが廃棄物になっているという報告が登場しています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:PIRG ,The Verge
学校に大量導入された「Chromebook」が短命すぎるという指摘
米国の公益研究グループ教育基金(PIRG)は今回、「Chromebook Churn」という新しい報告書の中で、3年前に教育現場に導入されたChromebookの多くがすでに壊れ始めていると述べています。
「Chromebook Churn」レポートは、学校における短命なノートPCの問題点を浮き彫りにしている
学区は、一斉に購入して生徒に配布できる格安のノートパソコンを探していました。多くの人にとって、Chromebookはその答えのように思えました。2020年最終四半期のChromebookの販売台数は、2019年に比べて287%増となりました。
3年後の今、学校ではノートパソコンの故障が目立ち始め、電子機器のゴミの山ができ、学校に追加費用を負担させています。
— 出典:PIRG
学校関係者はChromebookの寿命について「通常4年」と述べたとのこと。レポートは「Chromebookの寿命が2倍になれば、納税者にとっては18億ドルの節約となる」と見積もっています。
この寿命の短さの原因となっているのが、サポート期間と修理の難しさです。Googleはすべてのデバイスの平均的な使用期限を4年後としています。Googleは使用期限を延ばすための措置を講じていますが、これらの変更は、電子廃棄物を減らすために必要なものにはまだ及んでいないとのこと。
ハード面については、スペアパーツの少なさが修理を難しくしていると指摘しています。
Chromebookを修理するためのスペアパーツを探すのは大変です。 メーカーが生産するスペアパーツがないため、調達が難しく、価格も高い。現在、学校はサードパーティから部品を購入するか、壊れた機械から拾い集める必要があります。
この希少性が部品価格の高騰を招き、修理を不経済にする要因となっています。例えば、私たちがレビューした29個のキーボードのうち10個は89.99ドル以上で、これは一般的な200ドルのChromebookのほぼ半分の価格です。
— 出典:PIRG
フランスの「修理スコア」に基づくと、評価した11台のChromebookの平均部品入手率は20段階中3.3であり、平均20段階中9の「非Cromebookノートパソコン」よりはるかに低いものだったとのこと。
大量の壊れたChromebookが招く問題が、環境負荷です。コンピュータの製造には、多くの資源が必要になります。レポートによれば、パンデミック初年度に世界で販売された3100万台以上のChromebookは、約890万トンのCO2e排出量に相当するそうです。
また、このような電子廃棄物は適切にリサイクルできるのはわずか3分の1とのこと。これらの問題から、レポートはGoogleに対しChromebookの寿命を伸ばすよう訴えかけています。
これについて、Googleの広報担当者はテックメディア「The Verge」への声明の中で、以下のように述べています。
Chromebookが受ける保証サポートの年数を増やすために、ハードウェアパートナーと熱心に取り組み、2020年からは、2016年の5年から8年間の自動アップデートを提供することになりました。また、私たちは常にデバイスの製造パートナーと協力し、より修理可能なポストコンシューマーリサイクル素材や認証された素材を使用してセグメント全体でデバイスをますます製造し、時間をかけて排出量を削減する製造工程を使用するよう努めています。
— 出典:The Verge
今回の報告書はGoogleに訴えかける内容となっていますが、そもそも「200ドルのChromebook」にどれほどの耐久性やサポートを求められるかという問題もあります。安価なことが売りなChromebookを選べば、デバイスの寿命がそれなりに短いことは明白。学校や消費者側も、目先の価格だけではなく、長く使えるかを見極めてメーカーや製品を選ぶことが求められているのです。
オリジナルサイトで読む : AppBank
学校が大量購入したChromebookが「3年でゴミの山に」2つの問題点が指摘される