イタリア、スペイン、フランスなどの地中海周辺国の食習慣に由来している「地中海式ダイエット」は、今や海を越えて広く知られています。そんな地中海式ダイエットは最近の研究によると細胞レベルで体にいいことが分かりました。地中海式ダイエットがどのように体にいいのか、海外メディア「sciencealert」が解説しています。
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地中海式ダイエットが体に与える影響とは?
植物性食品と魚を重視し、赤身肉や乳製品をあまり使わない地中海式ダイエットをする人々は、心臓病、がん、糖尿病、認知症、総死亡率が低いというデータがあります。しかし長年、地中海式ダイエットと健康についての関係は不明でした。
ただ、アメリカのスタンフォード大学の研究者により、ついに地中海食と健康との関係が明らかになりました。研究によると地中海食の健康的な脂肪の1つが、回虫として知られる線虫の寿命に影響を与えているとのことです。この関連性を発見したことは、様々な脂肪の健康への影響や、長寿において食事が果たす役割について新たな知見を与えるものであり、大きな意義があると研究者は考えています。
遺伝学者アン・ブリュネット氏は下記のように述べます。
一般的に脂肪は健康に悪影響を及ぼすと考えられています。しかし、特定の種類の脂肪は有益であるということが示されました。
地中海式ダイエットには、ナッツや魚、オリーブオイルなどに含まれる一価不飽和脂肪酸と呼ばれる有益な脂肪が豊富に含まれています。今回の研究では、一価不飽和脂肪酸に含まれる「オレイン酸」に注目しました。
実験でオレイン酸を回虫に与えたところ、従来の餌を与えた回虫に比べて約35%長生きしました。さらに、オレイン酸には脂肪貯蔵庫である脂質滴を増やす効果もあります。下記画像は研究に使用した脂質滴で左がオレイン酸、右がエライジン酸です。
オレイン酸とエライジン酸は分子構造は似ていますが、健康への影響はまったく異なります。エライジン酸などのトランス脂肪酸は、心臓病や認知症などのリスクを高めるため、不健康な脂肪、つまり「悪い」脂肪と考えられています。
実際ミミズにオレイン酸を投与すると、腸内細胞の脂質滴の数が増加し、寿命の延長ができたとのことです。一方、エライジン酸を投与しても、脂質滴の数や生存日数は増えませんでした。脂質滴は細胞の代謝に重要な役割を果たし、細胞のエネルギー源となる脂肪の利用を制御するのに役立つと研究者は述べます。
またオレイン酸には、代謝等に関わる「ペルオキシソーム」という小器官を増やす効果もあります。ペルオキシソームを細胞内に多く持っている動物は長生きする傾向があり、一般的に若い動物の細胞でより多く存在し、年齢とともに自然に減少します。
さらに、オレイン酸には細胞膜を損傷させる脂質の酸化を抑制し、細胞を保護する効果もあります。細胞にとって酸化は、生物学的な悪影響の連鎖を引き起こす原因になる可能性があります。このように地中海食に含まれるオレイン酸と健康には密接な繋がりがあったのです。
研究が進めばオレイン酸の酸化に対する防御機能を模倣することで、老化に対抗する方法も見つかるかもしれないとのことです。
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地中海式ダイエットは〝細胞レベルで体にいい〟ことが実験で判明