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国立感染症研究所は5月23日、性感染症の「梅毒」と診断された患者が、2023年に入って全国で5000人を超えたと発表した。
近年は増加傾向が続き、今年は5月の段階で既に5000人を上回った。
梅毒に感染したらどのような症状が出るのか。また、感染経路や気をつけるポイントは何だろうか。
感染研が発表した「感染症発生動向調査」(速報値)によると、2023年19週(5月8〜14日)に梅毒と診断された患者は、全国で218人。
23年中に梅毒と診断された患者は、これで計5164人になった。
患者は都市部で目立ち、東京が最多の1332人だった。大阪699人、北海道305人と続き、愛知291人、福岡257人、神奈川229人などだった。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という病原体による感染症。
主に性行為によって感染するが、梅毒に感染している母親から妊娠・出産時に子どもへと感染する「先天梅毒」もある。
症状としては、感染して約3週間で陰部や口腔内などにしこりや潰瘍ができる。
治療を3か月以上しなければ、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出る。
発疹は数週間以内に消えたり、再発したりを繰り返すこともあるが、これは梅毒が治ったわけではない。
そのまま数年が経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍が発生する。心臓、血管、脳など複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死に至る。
また、妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産や早産になったり、生まれてくる子どもの神経や脳などに異常をきたしたりすることもある。
そもそも感染に気づきにくいことから、治療の遅れや感染拡大につながりやすい危険な感染症だ。
日本の梅毒患者の報告数は、1967年の1万1000人が最多で、その後は減少傾向にあったが、2010年から増加に転じた。
それまでは1000人以下の年が続いていたが、13年に1228人となり、16年に4575人、17年に5826人、18年は7007人と急増。
19、20年は減少したが、21年は10月8日時点で7978人となった。性別・年齢別では、男性は20〜50歳代、女性は20歳代が突出して多いという。
では、梅毒の感染を防ぐにはどうすればいいのだろうか。政府は次のような注意点を呼びかけている。
・性行為の際は必ずコンドームを使う
・無防備な口腔性交や肛門性交に気を付ける
・多数の相手と性的接触を持つと、感染する(させる)リスクが高まる
もし、性行為の後にいつもと違う症状が現れるなどした場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けなければならない。
受診先は、皮膚科や感染症科のほか、男性は泌尿器科、女性は産婦人科でも診察を受けられる。
口腔内に異常があった場合は、耳鼻咽喉科などで診察を受けてもよい。
なお、診察を受ける際は、感染の可能性がある時期や感染の予防状況について、医師に伝える必要がある。
政府はインターネットテレビでも、「こんな症状に心当たりありませんか?予防と検査でストップ!梅毒」と注意喚起している。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「梅毒」患者が5000人を超える。多い地域や年齢は?症状は?性行為の際に気をつけてほしいこと