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久しぶりに実家に帰るともう1人の自分がいて、両親と一緒に食卓を囲んでいた。そんな衝撃的なシーンから始まる4ページのSF漫画『おかえり陽子』がSNS上で話題になっている。
主人公・陽子にそっくりな人物の正体は、父親の会社で開発中の家庭用ロボット「カゾクロイド」だった。見た目はもちろん、声や性格まで希望の人物にプログラムできるという。「初めましてホントの陽子さん」と、あいさつするカゾクロイド。陽子は「なんかすっごく気持ち悪い!」と不快感を訴えるが、両親は相手にしてくれない。やがて陽子は悲しい事実を知ることになる……という内容だ。
漫画家のフナヤマヤスアキ(@phenome_f)さんが5月16日にTwitterに投稿すると、1日足らずで2万件以上の「いいね」が集まった。「ゾワゾワくるねぇ」「この展開は読めなかった」「AI物としても面白いしサスペンスとしても面白い」などと反響が寄せられている。
■『おかえり陽子』全編
■「読んでる人をびっくりさせようという思惑」と作者
作者のフナヤマさんは『死にぞこないのフジコとサチコ』などの著作があり、GetNavi webで『エレクトロジー』を連載中だ。
『おかえり陽子』は、もともと2022年に仙台にゆかりがある漫画家らによる同人誌「駅前グラスホッパー」に収録された作品。同人誌の第2弾が5月27日の「みちのくコミティア10 仙台出張」で頒布されることになったのを機に公開された。同人誌第2弾にもフナヤマさんが新作を寄稿しているが、『おかえり陽子』とは無関係の作品だという。
ハフポスト日本版ではフナヤマさんに取材した。一問一答は以下の通り。
――『おかえり陽子』の設定はどんなところから思いついたのでしょう?
基本的には読んでる人をびっくりさせようという思惑です。元々実家に帰ったら知らない誰かが家族と親しくしている…みたいな話を考えていましたが、寄稿した同人誌のテーマがSFだったので、ロボにしました。
――SF作家のフィリップ・K・ディックの作品を彷彿とさせましたが、漫画を描く上で意識しましたか?
フィリップ・K・ディック原作の映画『マイノリティ・リポート』や『トータル・リコール』が好きなので、そう感じて頂いたことは嬉しいのですが、具体的に何かを意識したという訳ではありません。2作品の「何か大きいシステムから自分のアイデンティティが奪われる」という物語の構図がすごく好きなので、自然とそんなプロットになりました。
――カゾクロイドの挙動は、ある意味で本人の性格を正確に再現している可能性がありますが、「人間に危害を加えようとしたから」ということで失敗と判定されたのでしょうか?
そうです。カゾクロイドは商品として発表する予定なので。
――今回のSNS投稿で2万件を超える「いいね」と4000件近いリツイートが集まるなど大きな反響を呼んでいます。この結果をどう感じていますか?
予想外でしたが、多くの人に見ていただいて嬉しいです。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
実家に帰ると、もう1人自分がいた。SF漫画『おかえり陽子』の絶妙なプロットに反響。「この展開は読めなかった」