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神宮外苑の再開発「子どもたちがスポーツをする場が奪われた」近隣の保護者らが対話型説明会求める

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要請文をスポーツ庁の担当者に手渡した「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の保護者や近隣住民(2023年5月16日)要請文をスポーツ庁の担当者に手渡した「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の保護者や近隣住民(2023年5月16日)

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私たち子育て世帯が抱く不安や疑問の解消に向き合ってほしい――。

再開発事業が進む東京・明治神宮外苑の近隣住民らが5月16日、事業主体の一つの独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC)に、住民との対話型の説明会を開くよう求める要請文を提出した。

住民説明会を求めたのは、「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の保護者や、近隣住民ら。

十分な事前説明がないまま再開発が進められていることに、地元の住民は不安を抱いているとして、「子育て世帯を含む近隣住民への説明および意見交換会を開催してほしい」と求める永岡桂子文科相宛ての要請文を、スポーツ庁の担当者に手渡した。

「子どもたちのスポーツの場が突然奪われた」

神宮外苑の再開発では、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を交代して建て替えるほか、高さ190メートルなどの高層ビルが建築される。

この再開発で子育てをする保護者らが懸念しているのが、子どもたちがスポーツをする場所や緑の環境が奪われることだという。

再開発に伴い、神宮外苑の大量の樹木が伐採されるほか、軟式野球場やフットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公共性の高い施設が廃止になる。

青山地区で3人の男の子を育てているという保護者は「子どもたちは、軟式野球場やテニスコートでスポーツをしてきました。それがある日突然なくなってしまい、その後再開発が行われるからだと聞きました。何の説明もないまま閉鎖と言われ、戸惑っている」と訴えた。

また、小学校6年生の息子が来年から神宮外苑のそばにある青山中学校に通うという母親は「周りの保護者からも、周囲の環境変わることへの懸念の声があがっている」と述べた。

「今の環境は落ち着いていて、穏やかにのびのびと自然を感じながら学べます。しかし、開発のための車両の行き来や粉塵が、学校生活にどう影響するのか心配しています」

さらに、地元の小学校と中学校を卒業したという近隣住民は「青山中学校の生徒にとって、神宮外苑はマラソンのコースや下校途中に立ち寄れる場所です」「しかし工事が始まると、あのエリアに入れなくなることもあり得るのではないでしょうか」と懸念を口にした。

保護者ら再開発に対する不安を訴えた(2023年5月16日)保護者ら再開発に対する不安を訴えた(2023年5月16日)

子育て世帯の不安や疑問解消に向き合って

再開発に反対する超党派の議員連盟も立ち上がっている。

この議連のメンバーの阿部知子衆院議員(立憲)は「スポーツ庁の重要な役割の一つは、子どもがスポーツに接する機会を増やしていくことではないか」と指摘。

 「競技スポーツだけではなく、子どもたちが自分の体を動かすということも重要で、それは成長にも影響を与えると思います。スポーツ庁はそういう面も大切にしなければいけない」と述べた。

有志の会代表の加藤なぎささんも「保護者の目から見て、子どもたちが体を動かすことの大切さが見失われていると感じられる」と訴えた。

「私たちが神宮外苑に求めているのは、安らぎとのびのびと過ごせる場所であることです。それは地域住民にとってのメリットかもしれませんが、それだけではなく、神宮外苑は歴史的に重要で世界からも評価されており、日本の人たちが大切に思っている場所です。その全体の価値を、開発と見比べてほしいです。それができるのは国、文部科学省だと思っています」

有志の会代表の加藤なぎささん(2023年5月16日)有志の会代表の加藤なぎささん(2023年5月16日)

「有志の会」はこれまで複数回、住民説明会の開催を求めてきた。しかし事業者側は今のところ、この要請に応じていない。

事業者の代表となっている三井不動産は、4月27日に開かれた東京都の審議会で、住民向けの説明会について「よく検討していきたい」と回答した。その後、開催の意向は発表されていない。

こうした対応を受け、有志の会の保護者らが改めて、文科省・スポーツ庁が所管するJSCに対話型の住民説明会を要請したかたちだ。

加藤さんらは「JSCには私たち子育て世帯が抱く不安や疑問の解消に向き合ってほしい」と求めている。

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