人類滅亡に繋がる規模の巨大隕石衝突はめったにないと考えられてきましたが、その認識は間違っていたかもしれません。NASAのゴダード宇宙飛行センターの主任科学者であるジェームス・ガービン氏が、過去100万年以内に起こった隕石衝突の痕跡について、実際の規模を見誤っていた可能性があると指摘しています。
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巨大隕石の衝突は実は〝数万年に一度〟もおきていた
隕石の衝突の中でも最も有名なもの、それは恐竜を絶滅されたといわれる隕石の衝突です。この隕石は、約6,600万年前に現在のユカタン半島の地殻に穴を開け、地球上の生物に壊滅的な打撃を与えました。
しかし、それよりはるかに小さな衝突でも、地球全体で何年もの飢饉につながる可能性があるほどの粉塵を巻き起こします。例えば、ツングースカ大爆発を引き起こした隕石はたったの50m~75m程度とされていますが、それが大気中で爆発しただけでも、衝撃のエネルギーは約40メガトン、広島原爆の600倍以上でした。
このような隕石が落ちてくる確率は、これまでの地球の歴史から推定されてきました。しかしこのような痕跡は、地球上の風や水、地殻変動によって風化しやすく、過去にさかのぼるほど読みづらくなっています。
ガービン氏ら研究チームは、過去100万年以内に形成された最大の衝突クレーターの風化した跡を、新しい高解像度衛星画像カタログを使って詳しく調べ、その大きさをより正確に把握することに成功しました。その結果、これらのクレーターの多くは、これまで外縁とされてきた部分にかすかなリングがあり、事実上、これまで推定されていたよりも大きなクレーターであることが判明したのです。
例えば、カザフスタンにある幅12~14キロメートルの窪地「ザマンシン」は、約9万年前に地球に衝突した直径200~400mの隕石によって作られたと考えられています。これは「核の冬」型の現象を引き起こす可能性がある最も新しい衝突です。
しかし、新しい分析によると、この衝突は実際には30キロメートル近いクレーターを残しており、さらに壊滅的な被害をもたらした可能性があるとのことです。また、他の3つの大きなクレーターの縁の直径も再計算され、いずれも2倍から3倍の大きさであることが判明しました。
科学誌「Science」はこの規模について「気候を乱し、局所的な絶滅を引き起こす」ほどだと指摘。恐竜の絶滅ほどではないにせよ、現代の人類滅亡を引き起こすには十分なレベルといっていいでしょう。
もしガービンの説が正しければ、その衝突は史上最大の核爆弾の10倍以上の爆発を引き起こし、地球の大気の一部を宇宙空間に吹き飛ばすのに十分である。恐竜を絶滅させた衝撃ほどではないにせよ、この衝突は地球の気候を乱し、局所的な絶滅を引き起こしただろう。
これは「数万年に一度、キロメートル級の物体が地球に衝突している」ということを示唆しています。つまりは、これまで考えられていたよりも非常に高い確率で、地球上に壊滅的な隕石が衝突する可能性があるのです。
ただし、新たに発見されたリングは、必ずしも衝突による波紋ではないかもしれないとのこと。例えば、衝突から放出された破片が、集中的に降り注いだだけの可能性もあるそうです。とはいえ、これまで考えられていたよりも、隕石の脅威が大きい可能性は高まったといっていいでしょう。
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巨大隕石が落ちる確率に〝計算ちがい〟人類滅亡レベルの衝突跡が複数発見される