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「選挙ボランティアって、エモいんです」
国際女性デーに先駆けた3月6日、政治のジェンダーギャップの解消を目指し、女性の選挙立候補を支援する「FIFTYS PROJECT」がイベントを開催した。テーマは「女性の政治家を増やすために私にできることを学ぼう!」。
政治にこれまで関心がなかったという人から、“推しの選挙立候補予定者”がいる人まで、約20人がイベントに参加。選挙にボランティアとしてどう関わり応援する方法があるのか学び合った。
選挙ボランティアの体験談をシェアしたのは、大学4年生のあおいさん。2022年3月の金沢市長選挙で永井みきこさんの選挙活動を応援するため、1カ月間シェアハウスに泊まり込んだ。
「自分の地域には“キュン”とくる人がいないけど、金沢には心から応援できる人がいたんです」
あおいさんは選挙期間前、選挙期間中、投開票日と、期間ごとに行ったことや法律的にやってはいけないことなどを説明。例えば選挙期間前には立候補予定者の氏名を出してはいけないため、顔写真や氏名を記載しない形で訴求する「確認団体ビラ」を配ったり、TikTokを駆使したりしたという。
選挙期間中は、主にポスティングやビラ配り、街宣車でいわゆる“ウグイス嬢”をしていたとあおいさんは話す。
「ユースのメンバーが多かったので、『“ウグイス嬢”ってジェンダー規範がキモいよね。“鳥ちゃんず”にしよ!』と呼称を変えてみたり、『あそこ辻立てそうじゃない?辻立っちゃおう!』と辻立ちできそうなところを常に探したり、日々アップデートを重ねていきました」
「こんな素敵な人が、当選できないはずがない!」と、全力で選挙ボランティアを行ったが、残念ながら応援していた永井さんは開票と同時に落選が決まった。
「この選挙の悔しさが、『本当に当選して欲しい女性が通らない現状を変えたい』という気持ちにつながりました」
あおいさんと一緒に金沢市長選挙にボランティアとして関わった大学2年生のりんさんは、選挙ボランティア経験者へのアンケートの結果を紹介しながら、自身の経験を語った。
「選挙で“もやもや”したことを聞くと、『候補者の家族は絶対に手伝う』ことを挙げている人が結構いました。本当に、候補者の妻や娘や飼っている犬まで応援演説とかに出てくるんですよ。でも家族が前に出ている=信頼できるっていう価値観が全然理解できませんでした」
他にも、「電話がかかってきたり、ハガキが送られてきたからと言って投票する人はどれくらいいるんだろう?」「ベテランボランティアの人がマンスプ※してくる」などがアンケートに寄せられたという。
「今の選挙ってお金もあって地盤もある強い人しか勝てないし、そりゃ私たちの声届かないよねって思いました。でも、『これっておかしいよね』って思える視点があるのは私たち。“勝てる選挙”をしてきた人だけじゃ選挙も政治も変わらないと思うんです」
※マンスプ…マンスプレイニングのこと。男性が女性を見下しながら何かを解説・助言すること。man(男)とexplain(説明する)という言葉をかけ合わせた言葉
一方で、「楽しい部分もあるんだよって伝えたい。私は選挙ボランティアをやる前は政治に興味がなかったけど、選挙後は政治に目が行くようになって楽しいです!」とりんさんは言う。
「選挙はずっと人手不足なので絶対喜ばれるし、自己肯定感が上がると思います。応援したいって思うくらいの候補者に出会えたら、そこで目指す社会のビジョンが似ている友だちと出会える。一緒に夢中になってやる楽しさやエモさがそこにはありました。このエモい関係性ができるのは、選挙ボランティアならではだなって思います」
コミュニティオーガナイジングに詳しい二見元気さんは、ハラスメントを防止するためのポイントを解説。ハラスメントが起きやすい街宣現場、選挙事務所での対策を紹介した。
「外で演説をしていると、邪魔だ!と大声で怒鳴ったり、看板を蹴ったり、付き纏ってきたりする人がいます。候補者本人が対応するには限界があるので、あらかじめハラスメント対応をする人を決めておきましょう。候補者がしつこく絡まれている時は、電話がかかってきたふりをして引き離すのが効果的です」
また、選挙事務所には、ポスターなどで「ハラスメントを許さない事務所」であることを明示することが大事だという。
「ハラスメントを許さないことを目のつく場所に置いておくだけで効果があります。また、何かあったときに相談できる人を探しておくのも重要です」
「FIFTYS PROJECT」では、ハラスメント防止ポスターも配布予定だという。
ワークショップでは、「私が〇〇さんを応援する理由」や「女性の政治家が増えないといけない理由」などを語りあった参加者たち。政治への関心の度合いは人それぞれだが、政治に前向きになっていった姿が見られた。
参加者の一人は「みんなお洒落だし、なんだかワクワクしてきました」と話した。
「同じ思いを持っている人がこんなにいるんだと思うと、背中を押された気分です。推しの候補者がいるので、今日学んだことを活かして、ボランティアとしてハラスメント対策などで役に立ってみたいです」
別の参加者は、「政治に興味を持ち始めたばかりですが、何かできそうと思った」という。
「推しと思えるような候補者がいないので、探してみようと思いました。これまで投票が一番の関わり方だと思っていたけれど、選挙ボランティアという方法があることを知れてよかったです」
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「選挙ボランティアって、エモいんです」女性の政治家を増やすために、私たちにできることは?