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「政治分野のジェンダーギャップを、わたしたちの世代で解消したい」
1月29日、政治のジェンダーギャップの解消を目指し、女性の選挙立候補を支援する「FIFTYS PROJECT」が、4月の統一地方選に向けてキックオフイベントを東京都内で開催した。統一地方選に向けて、立候補予定者19人が出馬への思いを語った。
「FIFTYS PROJECT」は、ジェンダー平等を目指す20代、30代の地方議員の女性比率を3割にすることを目指している。Xジェンダー、ノンバイナリーの人も支援対象で、現在約25人の立候補予定者が決まっているという。
イベントの冒頭に、プロジェクトのメンバーで「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、「FIFTYS PROJECT」のステートメントを発表。
女性が初めて国会議員になった1946年と2021年の衆院選を比べても、女性衆議院議員はわずか6人しか増えていないことや、地方議員の女性比率は約14%、そのうち20・30代の女性比率は約18%という現状に触れ、「このまま私たちの世代が生きている間、ずっとジェンダー不平等が続いていくなんて耐えられないと思って、このプロジェクトを始めました」と語った。
キックオフイベントには、2022年に杉並区長になった岸本聡子さんが駆けつけた。
杉並区長・岸本聡子さんが語った「政治家に必要な資質」
岸本さんの自身の選挙活動を「選挙は、濃密に急速に議論できる、面白いツールだと思っています」と振り返った。
「街頭演説をする中で、だんだん何度も立ち止まって話を聞いてくれる人が出てきました。その人たちは保育園や学校の先生で、何を言いたいのか聞いてみようと思ったんです」
すると、現場からの質問や意見が次々に出てきた。そこから岸本さんは、自分が話すだけでなく、立ち止まってくれた人にマイクを渡すようになった。だんだんと市民のリレートークが生まれ、その声たちを政策に柔軟に反映させ、主要政策や基本姿勢をまとめた「さとこビジョン」を作っていったと話す岸本さん。
「政治家になりたい人に絶対に必要な資質は、自分が当事者ではないことに対しての想像力だと思います」
会場で参加していた中学生は岸本さんに、「北欧はジェンダー平等が進んでいるけれど、日本では理想論なのでしょうか?投票権のない私にできることはありますか?」と質問を投げかけた。
岸本さんは、「簡単に答えは出ないけれど、ジェンダー不平等の現状を『当たり前』だと思わないでほしい」と答えた。
「新自由主義の最先端と言われるチリでは、大統領が30代、大臣24人中14人が女性で、24人中7人が30代です。ギャップをどうやって埋めるか想像することはできるし、まず地方自治でどうやれるか、皆さんと一緒に考えていきたい」(岸本さん)
「当事者不在の政治にはうんざり」立候補予定者たちの思い
ジェンダー平等を目指し、統一地方選に挑戦する立候補予定者19人が、立候補に至った背景や議員になって実現したいことを語った。
おのみずきさんは元々、途上国の気候変動対策などを支援してきた。実際に気候災害が起きた時、甚大な被害を受けるのは「社会的に弱い立場」の人々であるにも関わらず、対策や政策を決める場にその当事者がいないことに対する疑問を現場で感じていたという。
「ジェンダー不平等の問題も同じ構図だと思う。当事者不在の政治にうんざりしています。私たちのことは、私たちで決められる政治を実現したい」と思いを語った。
さこうもみさんは2022年まで、株式会社CAMPFIRE (キャンプファイヤー)でソーシャルグッド特化型のクラウドファンディング「GoodMorning」の立ち上げなどを行ってきた。事業でクラウドファウンディングをサポートする中で、「これは政治がやるべきことなのでは」と思うことに何度も直面し、立候補に踏み切ったという。
オルズグルさんはウズベキスタンの国立大学を卒業し、2007年に日本に移住してきた。日本の大学を卒業していないことなどを理由に就職活動で53社落とされた経験や、なかなか家を貸してもらえなかった経験を元に、「性別や人種、学歴や収入で判断されない、多様性のある社会を実現したい」と意気込んだ。
「何か自分にもできることはないか」集まった一般の参加者達
会場には一般の人も参加。能條さんは、「立候補を支援すると同時に、応援する人の顔ぶれも変わらなければならない。一緒に応援する人を増やしたいと思っています」と語った。
イベントに参加した女性は、「これまで社会について考えていると、一人で戦っているような孤独を感じていました」と話した。
「でもこうやってイベントでつながることで、弱い人も一緒に、みんなで優しい社会を作ろうとしている人が、本当にいるんだと感じられました。自分もできるところからやっていきたいなという気持ちになりました」
別の女性は、「前に立ってくれる人をヒーローにするだけでは意味がない」と感じたという。
「私も、少しでも何かできることをしたい。けれど一人で何かを始めるには自信がなさすぎてどうしたらいいか分からなかったので、今日はイベントに参加できて本当によかったです」
「FIFTYS PROJECT」では、「応援したい政治家がいないなら、一緒に動いていこう」と発信している。能條さんは「できれば投票以上のアクションをみんなにしていってほしい。例えばボランティアに参加したり、SNSでフォローやシェアしたり、イベントに参加したり。できることはたくさんあります」と呼びかけた。
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「みんなで優しい社会を作ろうとしている人が、本当にいるんだ」統一地方選への立候補を決めた19人の女性の訴えに共鳴する声