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LGBTQ当事者について「見るのも嫌だ」などと発言し更迭された荒井勝喜・前首相秘書官の差別問題を受けて、『LGBT法連合会』など支援団体は2月7日、厚生労働省で記者会見を開き、日本が議長を務める今年5月のG7広島サミットまでに「LGBT差別禁止法」などの法整備をするべきだと訴えた。法整備を求めるオンライン署名も行われており、同日午前11時時点で3万6750筆が集まった。
同様の法案はかねてから、当事者団体などが必要性を訴えてきた。だが荒井氏の発言を受け、 議員立法に向けた動きが出ているのは差別禁止ではなく、LGBT当事者への理解を増進する法案だ。LGBT法連合会理事の安間優希さんは、会見で「差別があったこのタイミングで差別を禁止するという形にしないのは、たいへん理解に苦しみます」などと訴えた。
◆署名までの流れ、求める内容は?
岸田首相は2月1日の衆議院予算委で、同性婚の法制化について「社会が変わってしまう」と答弁し、大きな反発を招いた。
岸田首相の発言を受けて、2月3日に記者団が荒井元首相秘書官に性的マイノリティなどについて聞くと「隣に住んでいたら嫌だ、見るのも嫌だ」などと述べ、翌日に更迭された。
これを受け、「岸田政権にLGBTQ法整備を求める有志」がオンライン署名を開始。有志は岸田政権に対し、当事者や支援団体がかねてから必要性を訴えてきた次の3つの法整備を求めている。
▼ LGBT差別禁止法
▼ 結婚の平等(同性婚)
▼ 性同一性障害特例法の改正または新設
LGBT法連合会は、中でも性的指向や性自認に関する差別的取扱いを禁止する「LGBT差別禁止法」があれば、性的マイノリティが直面する学校でのいじめや雇用差別の問題の解決、当事者に多いといわれる自死の未然防止などが期待できる、と強調する。
◆禁止しないのは「差別したいといっているようなもの」
今回の差別発言を受け公明党の山口代表は、LGBTの人たちへの理解を促進するための議員立法を「G7広島サミット」の前までに成立させることが望ましいと発言。与野党から早期成立を求める声が強まっている。
だがいずれも機能は差別禁止ではなく、理解推進にとどまる。この動きは今回だけではない。2021年にも超党派の議員が「LGBT理解増進法」の法案をまとめたが、「差別は許されない」との文言に対し、自民党内で「訴訟の頻発を招きかねない」などと批判が集まり、見送られたことがある。
また産経新聞によると、自民党の西田昌司政調会長代理が2月7日、理解増進を図る法案に関して「かつて人権擁護法案やヘイトスピーチ禁止などが議論されてきた。進める人は禁止規定や罰則と言う。それは社会分断させてしまうのでよくない」と発言した。
署名立ち上げ人の一人である一般社団法人『fair』代表理事の松岡宗嗣さんは、「理解という言葉がどういう内容なのか考えた時に、今の政府の状況では明らかに性的マイノリティに対する適切な理解よりも、差別的な認識が広がってしまうと感じます」と懸念を吐露。「差別発言があった上での立法の議論なのに、禁止を入れないというのは、差別をしたいと言っているようなものだと思います」と指摘した。
LGBT法連合会事務局長の神谷悠一さんは、G7で「LGBT差別禁止法」や同性カップルの法的保障がないのは日本だけであることに言及。「法律の状況について各国のチェックリストを作りましたが、仮にG7広島サミットまでにこの理解増進法ができたとしても、このリストにチェックがつくことはないと思います。しっかりと人権を守る法整備をしていくべきです」と話した。
<取材・文=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版>
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いつまでも「差別禁止」の法整備をしない自民党。「差別をしたいと言っているようなもの」と有識者