ガス代が月100万円アップ…銭湯が悲鳴「きつい」「機械が壊れてお湯が漏れ出たのかと」

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「機械が壊れてお湯が漏れ出して、ガス代が跳ね上がったのかと思った」。

1月請求分(12月使用分)のガス料金として「172万1826円」を請求された「押上温泉 大黒湯」の店主、新保卓也さんは驚きを隠せない。これまで月あたりのガス料金は70万円ほどだったいい、一気に100万円ほど上がったという。

機械は定期的にメンテナンスをしているため、お湯漏れなどの不具合ではなかった。

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大黒湯は露天や屋内など計5つの風呂があり、お湯を温めるのにガスを使う。平日は午後3時(土曜は午後2時、日曜は午後1時)から翌日の午前10時まで営業している。東京都23区内では唯一となるオールナイト営業をしている。

燃料費が上がっても、銭湯は入浴料金を勝手に引き上げることができない。入浴料金は、物価統制令の規定に基づいて各都道府県の知事が上限額を決める仕組みになっている。地域住民の保健衛生を守るのに必要との考えから、価格が高騰しないようにしているためだ。

東京都の場合、2022年に入浴料金の20円引き上げを決めた。これによって、大黒湯では料金を大人500円、中学生400円、小学生200円に引き上げた。

でも、これでは燃料費の上昇にはとても追いついていない。

新保さんは「営業時間が長い分、ガス料金も高い方だとは思う」。しかし、一晩中営業を続けているのはそもそも経営努力の一環だ。「長く営業しないと公衆浴場として売り上げをつくっていくのは厳しい」と話す。

大黒湯はJR錦糸町駅の繁華街まで約1キロと近く、疲れを癒しに来る飲食店の経営者も多い。会社勤めの人も働き方が多様化し、週末や夜間に働く人も増えており、そんな人たちに銭湯でくつろいでもらいたいという思いが強い。

国は2月請求分からガス料金の負担軽減策をスタートさせたが、それでも請求額は120万円ほどだ。新保さんは「公衆浴場を次の世代に繋いでいきたい」と経営努力を続けているが、「100万円を超えるのはきつい。ガス代が倍になったから客数を倍に増やすというのは難しい」と話す。

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Rui Hosomi