ビック・テック企業として大きな成功を納めているGAFA(Google、Apple、Meta、Amazon)が、大量解雇を行う可能性があると指摘されてます。しかし不景気とはいえ、Amazon以外は黒字なのにも関わらず、なぜ大量の優秀な人材を手放したり、採用を凍結するのでしょうか?その疑問について、海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。
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GAFAの1つであるMeta(Facebook)はなんと11,000人を解雇すると発表しました。また、Amazonも過去最大の10,000人を解雇する可能性があると報じられています。Amazonの人員削減は、同社のデバイス事業(多数のAlexa搭載製品を含む)、人事、および小売部門に集中するようです。
Apple、Googleはまだ、大量解雇をしていないものの新しい雇用を凍結しています。もしかすると、今後、大量解雇に踏み切るかもしれません。
解雇される人々の年収は20万ドル(約2,700万円)程の高収入です。そのため、今すぐ生活に苦しむことはないはずです。しかし、同じ報酬で再就職することは難しいでしょう。
解雇された人々の多くは、AT&Tやテキサス・インスツルメンツなどのバックグラウンド企業に就職することを余儀なくされます。これらの企業の年収は14万ドル(約1,900万円)で、平均的なアメリカ人の収入に比べれば十分な報酬です。しかし、GAFAの報酬と比べると遠く及びません。実際、Amazonでは2022年始めに法人社員の給与上限を2倍に引き上げるなども行っています。
GAFAは、なぜここまで報酬が高いのでしょうか?GAFAの巨額な給与は、その収益性の結果であると考えるのは簡単です。これらの企業は利益率が30%や40%であることが多いので、高い給料を払っても大儲けすることができるのです。このことがGAFAの報酬に一役買っていることは間違いないのですが、実は圧倒的に小さな要因です。
このような多額な報酬を可能にする主な要因は、これらの企業が指数関数的な成長をしているからです。GAFAの報酬を詳しく見てみると、その大半が株式ベースの報酬であり、基本給は実はそれほど高くないことが分かります。例えば、Metaのプロダクトディレクターの年俸は134万ドル(約1.8億円)ですが、そのうち実際の基本給は32万5000ドル(約4,500万円)にすぎません。つまり、基本給だけを見れば、GAFA企業と非GAFA企業はそれほど違いがないということです。
GAFAがこのような方法で報酬を支払っているのには、いくつか理由があります。まず、従業員が株を持てば、会社がもっと儲かるようにしようという意欲が湧きます。また、一般的に株式報酬は4年間の権利確定期間があるため、社員は最低4年間は会社に留まらなければ、すべての株式を換金することができません。要するに、従業員を4年以上居座らせることができるということです。
しかし、株式を報酬として与えるということは、現金を支払うのと同じではないのでしょうか?実は大きな違いがあります。Metaは、報酬として株式を与えるとき、株式市場から購入しているわけではありません。既存の株主を希釈し、新株を発行しているのです。
例えば、解雇前のMetaの従業員数が8万7000人だったとします。そして、社員に毎年10万ドル(約1,300万円)相当の株式を与えていると仮定します。すると、年間87億ドル(約1.2兆円)の株式報酬を支払うことになります。もし、これを現金で支払えば、Metaの純利益の3分の1が消えてしまいますが、1兆ドル(約139兆円)の価値があった時代には、この報酬は1%以下の株主希薄化に相当することになります。後者の方がはるかに好ましいことはおわかりいただけると思います。
ただ、この報酬方法には注意点があります。それは、企業が指数関数的に成長し続けなければならないということです。もし、これらの企業が停滞し始めたり、最悪の場合、売却され始めたりしたら、株主は希薄化を許容しなくなります。つまり、従業員に多額の報酬が払えなくなるということです。
GAFAの株式市場は下落傾向にあります。現にMetaの株は75%減少しています。このような状況では、新株を発行して報酬に充てることができません。そのため、社員の解雇をせざるを得ないのです。
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GAFAが黒字でも「大量解雇を避けられない」裏の事情