バンクシーがウクライナでの作品制作を動画で公開。人々の悲しみや怒りを伝える

ウクライナのボロディアンカに描かれた壁画。ロシアのプーチン大統領に似た男性が、柔道で少年に投げ飛ばされている(2022年11月12日)

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イギリスを拠点に活動する覆面アーティストのバンクシーが、ウクライナで作品を制作する様子をインスタグラムに投稿した。

動画は11月17日に投稿され、「2022年11月」という日付と「ウクライナ、ホレンカ」という街の名前が書かれている。

また、グレーのパーカーを着た人物が、段ボールに切り込みを入れたり、壁にスプレー缶を吹き付けたりして作品を作る様子も映る。

ウクライナでは11月に入ってから、バンクシーが描いたと思われる作品が複数確認された。

バンクシーも11月12日に、バレエダンサーが逆立ちをしている絵を「ウクライナのボロディアンカ」というコメントとともにインスタグラムに投稿

さらに、首都キーウやイルピン、ボロディアンカなどウクライナの複数の街で、合計7つの壁画を描いたとアートニュースペーパーに明かした。

今回インスタグラムに投稿した動画は、建物が破壊されている様子や、ウクライナの人々の悲しみや怒りを捉えており、戦争の残酷さを伝える。

頭にカーラーを巻きながらガスマスクをつけて消化器を持つ女性。ウクライナの首都キーウに近いホストーメリの建物に描かれた(2022年11月16日)
戦争で破壊された建物に描かれた、逆立ちするバレエダンサー(2022年11月13日)
首都キーウにある独立広場には、対戦車障害物をシーソーに見立てて子どもたちが遊ぶ絵が描かれた(2022年11月17日)

動画に登場する、子どもを連れたウクライナの女性は「ここに爆弾が落ちて、たくさんの人が亡くなりました。うちの子は、この幼稚園に通っていたのだけれど」と語っている。

女性は、子どもを抱き寄せて「悲しまないで」と伝え、「私たちはもうたくさん泣きました。もう涙は残っていません」「ほら、この男の人に写真を撮らせてあげて」と子どもに話しかけている。

キーウに描かれた作品。すでにあったと思われるペニスの絵を、「Z」の文字が描かれたロシアの装甲車に乗せた核弾頭に見立てている。動画の最後では男性がこの絵を指差し「これのこと?奴を酷い目にあわせてやる」と話している(2022年11月14日)

動画の後半では「ウクライナの人々と連帯する」というメッセージが浮かび上がる。 

バンクシーはこれまで、作品を通して戦争や核に反対してきた。

3月には匿名の人物がバンクシーの最も有名な作品である「CND Soldiers」のプリント版を競売にかけ、落札額10万6505円(約1400万円)をウクライナの小児病院に全額寄付した。

この作品は元々、イラク戦争に反対するものとして、2003年にイギリスの国会議事堂の外に描かれた。

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バンクシーがウクライナでの作品制作を動画で公開。人々の悲しみや怒りを伝える

Satoko Yasuda