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「投資情報教えます」「暗号資産で儲かる方法教えます」…。SNSやネットにはさまざまな『お金』にまつわる情報があふれており、『お金』についての知識を教えるマネースクールなども広がっています。芸能人が巻き込まれた巨額の詐欺などがたびたび話題になる中、私たちが自分のお金を守るため、正しい情報を見抜くために必要なこととは?知っておきたいチェックポイントを、お金の専門家で「日本金融教育推進協会」代表理事の横川楓さんに聞きました。
【目次】
- 「モノなしマルチ商法」とは?
- 騙されないための3つのポイント
- SNSやネットの危ない情報を見抜く6つのチェックポイント
- 信頼できるマネースクールを見分ける3つのポイント
- “金融リテラシー”を身につけるために
若い世代の被害が多い「モノなしマルチ商法」とは
近年、友人や知り合いからファンド型投資商品などの儲け話を勧誘される「モノなしマルチ商法」に関する相談が増えているといいます。
「マルチ商法」とは、商品やサービスを契約して、次は自分がその勧誘者となって紹介料報酬などを得る商法のこと。こうした「マルチ商法」に関する相談では、健康食品や化粧品などの「商品」に関するものが多いものの、「モノなしマルチ商法」は、こうした「モノ」ではないものを対象とした「マルチ商法」を意味します。
国民生活センターによると、友人やSNSで知り合った人などから持ちかけられ、暗号資産(仮想通貨)や海外事業などへの投資やアフィリエイトなどの儲け話を「人に紹介すれば報酬を得られる」と勧誘され契約したものの、事業者の実態や儲け話の仕組みがよく分からず、事業者に解約や返金を求めても交渉が難しいというケースが多くみられるといいます。
さらに、国民生活センターには、「モノなしマルチ商法」についての相談は2019年度に6059件、2020年度に5847件、2021年度に4727件寄せられており、そのうち29歳以下からの相談がいずれも半数を超えているといいます。
こうした状況から、国民生活センターは以下の点に注意するよう呼びかけています。
・実態や仕組みが分からない『モノなしマルチ商法』は契約しない
・友だちや知り合いから勧誘されても、きっぱりと断る
・安易にクレジットカードでの高額決済や借金をしないようにする
・不安に思った場合やトラブルになった場合は消費者ホットライン「188」番などに相談する
知り合いからの儲け話…騙されないための3つのポイント
これに加え、友人や知り合いから「投資商品」などを誘い文句にした儲け話などを持ちかけられた際、巻き込まれないために知っておきたいポイントとして、横川さんは次の3つの点を挙げました。
①「個人にお金を預ける」ことはまず危険
②「個人間のトラブル」は補償される可能性が低い
③「絶対に儲かる」は100%ない
まず1点目について、「『個人にお金を預ける』ことで投資商品を購入する、儲かる──という話はまずありえないと思ってください。『投資』は一般的には、証券会社などの金融機関を通して投資商品を買うもので、そうではないケースは、それだけで危険だと思った方がいいです」と指摘します。
さらに、2つ目のポイントとして、「金融機関の投資商品であれば、会社が破綻したとしても、その金融機関のルールに則って補償される場合がほとんどですが、『個人にお金を預ける』という形だと結局『個人間のトラブル』ということになってしまうので、一律の決まりがなく、お金を取り返すには、自分で裁判を起こして取り立てる──ということが必要になってしまう可能性もあります」と呼びかけました。
そして、「金融機関を通じて投資をしたとしても、必ず損をするリスクはある」と指摘した上で、「『絶対に儲かるもの』なんて100%ないと思っていいので、『絶対儲かる』『絶対稼げる』という誘い文句は、かなり危ないものと思っていただきたいです」と注意を呼びかけました。
SNSなどでの危ない情報…見抜く6つのチェックポイント
友人や知り合いから持ちかけられる話のほか、SNSやネットで発信される「お金」にまつわる情報はどう見抜けばいいのか。
横川さんは6つのチェックポイントを挙げました。
①身元が割れているかどうか
②第三者とつながりを持っているかどうか
③SNS以外の活動をしているかどうか
④クローズドなつながりに誘導しようとしていないかどうか
⑤個人情報を収集しようとしていないか
⑥暗号資産関連であれば金融庁の登録業者かどうか
まず、横川さんは「今、TwitterだけではなくInstagramやYouTubeなど、いろんな媒体で『お金を稼げます』というようなことを発信されてる方がすごく多い」と指摘した上で、「まず身元が割れていない人が一番危ないです」と語りました。
顔写真を公開しているかどうかや、公開しているならその写真はフリー素材などではないか画像検索をしてみることなど、身元が明らかになるかどうかが大事なポイントだと挙げました。
また、そのアカウントが他の信頼できるアカウントとフォローし合っているかなど、第三者とのつながりを持っているかどうかもポイントだと指摘しました。
SNSでの発信以外にリアルな場でのセミナーなどを開催しているかどうかなど、SNS以外の場での活動が見えるかどうかも重要なポイントだといいます。「ただSNSだけで『稼げます』というような発信を繰り返しているだけであれば、危ないと思っていいと思います」
また、SNS上の発信から、LINEのグループなど、閉ざされたクローズドなつながりへの誘導を促しているかどうかも気をつけるポイントだといいます。
さらに、情報と引き換えにメールアドレスを登録させようとするなど、個人情報を少しずつ収集しようとするアカウントではないかどうかも注意したい点だと指摘しました。
さまざまな「暗号資産」をうたい文句にするような情報もあふれています。横川さんは、こう注意を促しました。
「暗号資産を取引するには金融庁への登録が必要なので、登録業者でなければ基本的に取引ができません。取引を持ちかけるものであれば、登録業者かどうかは必ず確認しましょう。また、暗号資産は株式投資などと比べ、価格変動の振れ幅が大きいので、『これを買っておけば必ず利益出ます』という文言がある時点でおかしいと思った方がいいでしょう」
信頼できるマネースクールの見分け方は?
金融教育への関心が高まる中、お金についての知識を教える「マネースクール」への注目も高まっています。信頼できるスクールかどうかは、どう見分けたらいいのでしょうか。横川さんは、次の3つのポイントを紹介しました。
①会社の事業としてやっているかどうか
②代表者の情報が信頼できるかどうか
③スクールで何を教えるのかが明示されているかどうか
「大前提」として、会社の事業としてやっているかどうか、公式サイトがあるかどうか──が大事だと指摘します。「会社の情報や口コミを一度調べてみると、きちんと運営しているかどうかが見えてくると思います」。また、会社として運営している場合でも、代表者の経歴を調べてみることもおすすめします。
そして、「スクールで何を教えるのか明示されていること」が重要だといいます。「何を教えているかわからないということはまず危ないです。何もせずに稼げることなんてないので、『稼ぎ方を教えます』だけでは不十分で、何を提供してもらえるのかがはっきりしているかは見極める方法の一つかなと思います」
「また、法人だけではなく個人で金融教育の活動をしていると名乗る方も増えていますが、近年の金融教育の拡充に乗じて突然発信を始めただけの方も多い印象があります。しっかりと知識を教えられるスキルや実績があるかどうかも確認したいところです」
“金融リテラシー”を身につけるために
横川さんが代表理事を務める「日本金融教育推進協会」では、金融教育に取り組む業者が信頼できる業者かどうかを「認証」する制度について検討しているといいます。
「背景には、マネースクールなど『お金』に関するコンテンツを提供している方がここ数年ですごく増えてきましたが、一般の方から『本当に信頼できるところなのかわからない』『どういったスクールに通えばいいかわからない』『どう学べばいいのかわからない』といった相談を受けるようになったことがあります。きちんと金融リテラシーが身につけられるものかどうかを、協会で何かしらの基準を定めて『認証マーク』という形で付与していけたらと考え、今準備をしています」
その上で、金融リテラシーを身につけるための“第一歩”として、こう注意を呼びかけました。
「岸田政権が掲げる『貯蓄から投資へ』など投資が推進されていますが、副業など多様な働き方も広がっています。SNSアカウントなどで副業を持ちかけるものも増えている中、副業であれば信頼できる会社が運営しているサイトを、投資であれば金融機関を介して行うことが大事です。情報を得るには、SNSで口コミを調べることも大事ですが、一次情報は金融庁や日本銀行の情報サイト『知るぽると』などを活用するようにしましょう」
(この記事は、2022年10月27日に開催されたTwitter Spaces「#お金を話そう」の内容を一部加筆・編集しました)
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