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「文科省通知は人権侵害」と訴え。障害児が通常学級で学ぶ時間を制限する内容、保護者ら人権救済を申し立て

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特別支援学級に在籍する障害児が通常の学級で受けられる授業時間を週の半分までとする文部科学省の通知は「人権侵害」だとして、大阪府に住む障害児の保護者らは大阪弁護士会に人権救済を申し立てた。申し立ては10月31日付。

保護者らは申し立て書で、文科省に通知の撤回を求めるとともに、自治体の教育委員会に対しても、文科省通知に基づく方針を撤回することなどを要請している。

今後、同弁護士会は、申し立てに基づいて調査を行う。その上で、「人権侵害に該当する事実」が認められれば、同弁護士会が文科省や教委に対して是正を求める「勧告」などを出すこととなる。

文科省が4月に出した通知が波紋を広げている文科省が4月に出した通知が波紋を広げている

国連も撤回を求めた通知の中身とは?

文科省は4月、特別支援学級に在籍する児童生徒には、週の半分以上の授業を特別支援学級で学ぶことを促す通知を、全国の教育委員会などに発出した。「特別支援学級に在籍している児童生徒が、大半の時間を通常の学級で学んでいる場合には、学びの場の変更を検討するべき」とし、特別支援学級ではなく通常の学級に在籍するように求めた。

ただ、一部の地域の学校関係者や保護者からは、「障害児が通常の学級に在籍する児童生徒とともに学ぶ機会が奪われる」と懸念する声や、「通知に従おうにも、(クラスの定員などの都合で)今すぐに在籍学級を変えることは難しい」との訴えが相次いでいた。

9月には、国連障害者権利委員会が日本政府に対し、障害児を分離している現状の特別支援教育をやめることとあわせて、4月の通知を撤回するように強く求めていた。

「どちらかを放棄せよと迫ることは人権侵害」

10月31日に障害児の保護者らが大阪弁護士会に提出した申し立て書は、通知に従うならば、これまで通常の学級で学習する時間が多かった障害児は「支援を受けるために週の半分以上を特別支援学級で過ごすか、支援を放棄して通常学級で大半の時間を過ごすか、という選択を迫られる」と指摘。文科省の方針は、障害児を「そうでない児童生徒から『分離』する」ものだと批判した。

その上で、「どちらかを放棄せよと、教育行政(国や教委)が児童生徒や保護者に迫ることは、人権侵害」だと訴えた。

今後、調査に基づき「人権侵害に該当する事実」が認められれば、同弁護士会は教委や文科省に対して「警告」「勧告」「要望」などを出し、是正を求めることとなる。

ただ、同弁護士会からの勧告などに強制力はない。同弁護士会は、「弁護士会の見解を述べて是正を求めることで、人権に対する意識を高めてもらうための制度」と説明。その上で、「強制力を行使して被害回復をはかろうと考える場合は、刑事告訴や民事訴訟など別の手続きをとる必要がある」としている。

文科省、通知を徹底しない方針

保護者らによる申し立てにより通知の撤回を求められている文科省の担当者(特別支援教育課)は、「通知は、本来は特別支援学級に在籍する必要のない児童生徒は通常学級に在籍するよう促すもので、教育現場をよりインクルーシブにする目的を持つ」と説明。その上で、「今後も教育現場には通知に基づいた対応を求める」として、通知を撤回しない考えを強調した。

同省は通知の発出に先立つ2021年度、特別支援学級に在籍する児童生徒の割合が高い10の都道府県・政令指定都市を対象とした調査を実施。その結果、特別支援学級に在籍する児童生徒のうち総授業時間の半分以上を通常の学級で過ごしている子どもが97%を占める自治体があることが判明した。
同省の担当者は、「こうした自治体では、障害の特性に応じた支援が十分に展開されず、障害児が通常の学級内で放置されていることも少なくない。支援が必要な障害のある児童生徒には、特別支援学級での学習時間を確保することが適切」と説明する。 

特別支援学級では児童生徒8人につき教員1人が配置される。児童生徒35〜40人につき教員1人の割合の通常の学級よりも、教員が多く配置されやすい。同省幹部は、「本来、特別支援学級の在籍者としてカウントしなくていい子どもを算定することで、(国費で配置される)教員数を多く確保しているとみられる側面もあった」との見解を示した上で、通常の学級で学べる子どもは通常の学級に在籍するよう徹底を求めるとしている。

〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉

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「文科省通知は人権侵害」と訴え。障害児が通常学級で学ぶ時間を制限する内容、保護者ら人権救済を申し立て

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