岸田文雄首相は10月28日に開いた記者会見で、同日閣議決定した事業規模約72兆円となる「総合経済対策」について説明した。
首相は会見の冒頭で、「今回の対策は物価高克服、経済再生実現のための総合経済対策です」と狙いを明かし、「物価対策と景気対策を一体として行い、国民の暮らし、雇用事業を守るとともに未来に向けて経済を強くしていきます」と訴えた。
今回の総合経済対策は、財政支出39兆円、事業規模で約72兆円に上る。首相は「これによりGDPを4.6%押し上げます」と訴え、「電気代の2割引き下げや、ガソリン価格の抑制などにより、来年にかけて消費者物価を1.2%以上引き下げていきます」と目標を明らかにした。
首相自身が「物価対策として重点を置いた」と語ったエネルギー価格対策としては、以下の点を挙げた。
・家庭の電気代について、1月から来年度初頭に想定される平均的な料金引き上げ額の約2割分を国において負担する
・事業者に対しては、再エネ賦課金に見合う額を国において負担する措置を講じる
・ガス料金についても同等の措置を行う
・ガソリン価格の引き下げを来年も継続する
これらの対策により、首相は「平均的な1家庭で、来年前半に総額4万5000円の支援となります」と訴えた。
子育て世帯を支援するため、以下の対策に取り組むとも明言した。
・妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援と10万円相当の経済的支援を組み合わせたパッケージを創設する
・来年4月から出産育児一時金の大幅な増額を行う
・子ども食堂や子どもの居場所作りなど経済的な困難に直面する子育て世帯への支援も強化する
・園児バスへ置き去り事故を受け、事故が2度と起こらないよう来年の夏に向け、安全装置を義務化し、国が標準的な装置を全額負担する支援制度を設ける
新型コロナの感染拡大の影響を受けた旅行、宿泊、エンタメなどの消費喚起として、以下の対策を挙げた。
・全国旅行支援は、4人家族で一泊あたり4.4万円の割引となり、イベント割で映画館、テーマパークは2割引とする
・観光資源を高品質化し、観光収入が上がるよう、客室改装などソフト・ハード両面で強力に支援をする
物価上昇に合わせた賃上げにも取り組むとも表明。「経団連、連合を巻き込んだガイドライン作りなど、労使の機運醸成に全力を挙げてまいります」と語り、「政府も賃上げ実施企業に対する補助金や公共調達の優遇を行うとともに物価上昇をしっかり組み込む形で、最低賃金を引き上げてまいります」と訴えた。
こうした物価高・賃上げ対策に加え、人への投資の抜本的な強化や、NISA・iDeCoの拡充、半導体などへの国内投資の拡大など、次世代に向けた投資にも力を入れると明らかにした。
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「電気代2割引き下げる」岸田首相が訴えた事業規模72兆円の「総合経済対策」とは【首相会見】