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アントニオ猪木vsアリの「伝説の一戦」。今もう一度、写真で振り返る

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ニューヨークで対面したモハメド・アリ氏とアントニオ・猪木氏(1976年3月25日)ニューヨークで対面したモハメド・アリ氏とアントニオ・猪木氏(1976年3月25日)

元プロレスラーで政治家のアントニオ猪木氏が10月1日、79歳で亡くなった。

猪木氏の長いプロレスラーキャリアの中でも特に注目を集めたのが、1976年6月26日に開催された、モハメド・アリ氏との「格闘技世界一決定戦」だろう。

プロボクサーで当時世界ヘビー級チャンピオンだったアリ氏との異種格闘技戦は、ファイトマネーがアリ氏18億円、猪木氏6億円の「30億円興行」とも呼ばれ、組み合わせの異色さから「真剣勝負か、それとも単なるショーか」と大きな話題を呼んだ。

46年前の「世紀の一戦」で、どんな戦いが繰り広げられたのか。当時の写真と記事で振り返る。

「イノーキはペリカン」攻撃は記者会見から始まった

ホテルで記者会見したアリ氏ホテルで記者会見したアリ氏

攻撃は、リングに上がる前から始まった。

6月16日に来日したアリ氏は、宿泊していたホテルの記者会見でさっそく猪木氏を挑発。

「俺はご覧の通り、2人の専門家からプロレスとカラテの秘技を教えてもらった。これまでボクサーを倒してきたのと同じように、今度はプロレスラーを倒してみせる」と自信満々の様子を見せた(朝日新聞1976年6月17日付朝刊)。

さらに「イノーキがオレを尊敬しないのが気にくわん。今回はオヤジがこどもをしかりつけるようにしてこらしめてやる。オレは、試合前に必ず相手にあだ名をつけるが、イノーキはペリカンだ。あのアゴを狙えば間違いない」と話し、8回でのKOを予告した。

「ちっちゃなアリだ」と猪木反撃

日本外国特派員協会での記者会見日本外国特派員協会での記者会見

さらに18日、2人は東京の日本外国特派員協会で記者会見した。

この時も、アリ氏は「オレは世界一なんだ。イノーキ(猪木)なんて日本やアメリカの一部で少しは名前を知られていても、大したほどじゃない。しかし、今回、オレとやることで、世界中に名前が売れる」と“口撃”パンチを次々と繰り出した(朝日新聞6月19日付朝刊)。

これに対し、猪木氏は「俺はファイターなんだ。トーカー(しゃべり屋)なんかじゃない」と反撃。

「アリ、という名前が日本語じゃどんな意味か知ってるか。ちっちゃなアント(蟻)だぞ。踏みつぶしてやる」と応酬し、アリ氏に松葉杖をプレゼントした。

戦いの後に必要になるだろうと猪木氏から松葉杖を渡され、反応するアリ氏戦いの後に必要になるだろうと猪木氏から松葉杖を渡され、反応するアリ氏

世紀の一戦の結果は…

対戦前から大きな注目を集めた、猪木氏とアリ氏の「格闘技世界一決定戦」。

試合は「30万円の席に空席がないほど上々の入り」だったものの、「大きな見せ場もなく、引き分けた」という。

朝日新聞1976年6月26日付夕刊は、次のように報じている。

「猪木はパンチを避け、リング中央に寝転がって、かにばさみに出ると、いつもの半分という4オンスの軽いグローブをつけたアリは、左右のパンチならぬ〝足げり〟で応戦した。そして例によって口からアワをとばしてのヤジ攻撃。

13回、猪木のタックルが決まって組み付いたが、アリはロープに逃れた。14回、アリの左ストレートが初めてきれいに猪木の顔面をとらえたが、KOするまでにはいたらずじまい。見せ場といえばこの2回だけで、しょせんボクシングとレスリングは水と油。あっけにとられたファンを置き去りにして、2人は仲良く抱き合ってロッカールームへと消えた」

猪木氏とアリ氏の対戦は15ラウンドで引き分けに終わった猪木氏とアリ氏の対戦は15ラウンドで引き分けに終わった

40年を経て、6月26日が「世界格闘技の日」に

この伝説の異種格闘技の対戦から40年後の2016年5月、日本記念日協会は猪木氏とアリ氏の対戦が行われた6月26日を「世界格闘技の日」にすると発表した

アリ氏はこの発表があった直後の同年6月3日に、アメリカ・アリゾナ州の病院で死去した。74歳だった。

この時、猪木氏は所属事務所を通じコメントを発表。「かつてのライバルたちを見送ることは非常に辛いものです。あの戦いから今年で40年。6月26日が『世界格闘技の日』と制定された矢先の訃報でしたので残念です」と、偉大な対戦相手の死を悼んだ。

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