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ガソリンの匂いを嗅ぎたくなる科学的根拠とは?

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個人差はあるものの、ガソリンの匂いを好む人は少なからず存在します。しかし、その匂いは花や料理のように分かりやすいものではなく、なぜ嗅ぎたくなるのか不思議になるようなものです。この理由について、海外メディア「scienceabc」が解説しています。


*Category:テクノロジー Technology|*Source:scienceabc,wikipedia

ガソリンに含まれる、人間を魅了する危険な成分とは?


CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、ガソリンは150以上の化学化合物が複雑に混合されており、その多くは私たちの健康にとって危険であるとされています。

その成分の1つが、ベンゼンと呼ばれる燃費を良くし、エンジンの性能を向上させる成分です。ガソリンの匂いが人を惹きつける秘密は、このベンゼンに隠されているのではないかと考えられています。

ガソリンに含まれるベンゼンの濃度は、体積比でわずか約1%です。しかし、空気中のベンゼンは濃度が1ppmでも刺激的な臭いがします。また、空気中で急速に蒸発するため、拡散が早いことも特徴です。

ベンゼンを含むものはガソリンだけではありません。ベンゼンは、一部のテニスボールやマニキュアやペンキなどにも含まれており、ときには人を惹きつけます。

では、ベンゼンの何が人を惹きつけるのでしょうか?これには、大きく分けて2つの要因が考えられています。

1つが、ベンゼンが脳に多幸感を与える、つまり嗅ぐとハイになれるということです。ベンゼンのような炭化水素を吸い込むと、麻酔薬のように神経受容体を麻痺させ、中枢神経系を抑制することができます。

研究によると、ベンゼンは脳の中辺縁系経路、一般に報酬経路と呼ばれる経路を活性化させることが分かっています。ここでいう報酬とは、一時的に快感を得るための快感ホルモンであるドーパミンを分泌することです。

このような特徴からベンゼンは、19世紀初頭には香水に用いられたこともありました。ただ、ベンゼンに発がん性や毒性があることが判明したため、これらの用途はすべて廃止されています。

また、ベンゼンを吸い込むと、すべての臓器、特に肺に影響を及ぼします。そして、炭化水素肺炎と呼ばれる深刻な炎症を引き起こす可能性があります。とはいえ、ガソリンに含まれるベンゼンは人に無害な程度に抑えられていますが、あまり嗅ぎすぎるのは良くありません。

もう1つが、匂いに記憶を刺激する作用があることです。

五感の中でも、嗅覚は特別な記憶を呼び覚ますことがあります。例えば、焼きたてのクッキーの香りはクリスマスの思い出を、古い本の香りは好きな小説を読みふけった時間を思い出させてくれたりします。

この感覚の原理を簡単に説明すると、他の感覚とは異なり、匂いを感知する脳の領域は、感情や記憶を司る領域の近くに位置しているため、脳は強い匂いと重要な記憶を結びつけてしまうのです。

つまり、ガソリンの匂いが好きな人は、この匂いを何か楽しい思い出と結びつけている可能性があるということです。ガソリンの匂いが好きな人は、家族で行った楽しいドライブなどを、嗅覚から思い出しているのかもしれません。

とはいえ、なぜベンゼンの匂いが人を惹きつけるのかは、いまだ不明確なところも数多くあります。日常生活に様々な影響を及ぼす嗅覚ですが、科学的にはまだまだ謎だらけなのです。



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ガソリンの匂いを嗅ぎたくなる科学的根拠とは?

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