自民党の細田博之衆院議長と江島潔参院議員が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が関係する団体で、日本と韓国をつなぐトンネルの実現を目指すNPO法人「日韓トンネル研究会」の顧問を辞任したことがハフポスト日本版の取材で分かった。
ハフポスト日本版は当時顧問だった細田氏と江島氏の事務所に対し、顧問を引き受けた経緯や、今後も続ける意向があるかなどについて質問状を送付していた。両氏の事務所から回答はないものの、質問状を送った翌日にあたる9月2日に辞任した。
「日韓トンネル研究会」は、朝鮮海峡を横断する総延長270キロの海底トンネル「日韓トンネル」の実現に向けて調査研究するシンクタンクだ。
旧統一教会の創始者である故・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が、世界を高速道路でつなぐ「国際ハイウェイ・プロジェクト」を提唱。その一環である日韓トンネル構想を実現するため、1983年に地質学者ら各界の専門家を集結し、任意団体として誕生した。内閣府の認証を受けて2004年6月からはNPO法人化された。
設立の経緯で関係が深いだけでなく、日韓トンネル研究会にはこれまで旧統一教会の関係者も在籍してきた。
機関紙「世界家庭」2019年4月号によると、日韓トンネル研究会の常任理事を務める山岡建雄氏は、旧統一教会本部の渉外・出版局長などを歴任した人物だという。このほか、旧統一教会・元会長の徳野英治氏が2014年から2021年にかけて、日韓トンネル研究会の顧問を務めていた。
日韓トンネル研究会の会報「日韓トンネル通信」No.60によると、細田氏と江島氏は2019年6月6日の通常総会で顧問に就任。公式サイトに掲載された9月1日現在の顧問名簿にも名前が載っていた。
同研究会では2人の顧問就任の理由について「両先生方は鉄道に理解があり、日韓トンネルの地元のご出身であるため」と説明している。細田氏は島根県松江市、江島氏は山口県下関市の出身であり、佐賀県唐津市を日本側の起点とする日韓トンネルの建設予定地に近い。
日韓トンネル研究会の担当者は9月1日、ハフポスト日本版の取材に文書で、以下のように回答した。
「顧問は運営上の一切の権限がなく、当会の業務運営に携わることのない名誉職」として、2人から会の運営に関するアドバイスはなかったとした。「世界平和統一家庭連合は、日韓トンネルの実現に向けて努力している団体のひとつと認識しています」とした上で、同研究会について「世界平和統一家庭連合との関係があるとの認識で結構です」と旧統一教会の関係団体であると認めた。
細田氏と江島氏が所属する自民党は8月31日に開いた役員会で、旧統一教会および関連団体とは今後、一切関係を持たないことを党の基本方針に決定している。
ハフポスト日本版では両氏の国会事務所に9月1日、顧問を引き受けた経緯や今後も続ける意向があるかなどについて、FAXで質問状を送ったが2日の記事執筆時点で回答はない。電話でも確認したが、いずれも「担当者が不在で答えられない」ということだった。
日韓トンネル研究会は公式サイトに掲載している顧問名簿を2日午前に更新。細田氏と江島氏の名前が消えた。同研究会に確認したところ「ご本人の側の意向で、顧問を本日で辞任した」という。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
細田博之衆院議長ら、旧統一教会が関係する「日韓トンネル研究会」顧問を辞任。ハフポスト日本版が取材中に