政府・自民党が、参院選の街頭演説中に銃で撃たれ死去した安倍晋三元首相の「大規模な葬儀」を、今秋に執り行う方向で検討に入ったと時事通信社が報じた。
憲政史上最長の在職期間(通算8年8か月)を踏まえて自民党内や支持者などから「国葬」を求める意見が浮上する一方で、ネット上では安倍氏の国葬に反対する声も上がっている。
税金を投入し、首相経験者の「国葬」や「合同葬」が営まれるケースはこれまでにもあった。
近年行われた葬儀を中心に、主なケースを振り返る。
「国葬」「国民葬」はそれぞれ1回のみ
戦前には、岩倉具視や山本五十六のほか、伊藤博文など首相経験者も「国葬」が営まれてきたが、戦後に国葬が行われたのは1962年の吉田茂氏のみ。
法的根拠となる「国葬令」は1947年に失効したものの、吉田氏の国葬は例外的に行われた。それ以降、首相経験者の国葬は一度もない。
佐藤栄作氏が死去した1975年には、内閣と自民党、国民有志が主催する「国民葬」が行われた。
近年では、内閣と自民党による「合同葬」が主流になっている。
▼近年行われた元首相の内閣・自民党合同葬【一覧】
(開催年、元首相名、開催費用 ※西日本新聞などを基に作成)
1995年 福田赳夫氏 1億4700万円
2000年 小渕恵三氏 1億5100万円
2004年 鈴木善幸氏 1億900万円
2006年 橋本龍太郎氏 1億5400万円
2007年 宮沢喜一氏 1億5400万円
2020年 中曽根康弘氏 1億9300万円
中曽根氏の合同葬をめぐっては、総額2億円弱の費用のうち半分近くが公費負担とされた。2020年度当初予算の予備費から9643万円が拠出されることが報じられると、高額の支出に対して「税金の無駄遣い」などと批判の声が広がった。
元首相の葬儀に対し、政府が経費を支出する法的な根拠や基準はない。
松野博一官房長官は7月12日の記者会見で、「安倍元総理の追悼の方式については、現時点で政府として決定していることはありません。過去の例や遺族の意向などを踏まえて検討する」と述べるにとどめた。
一部のメディアで秋に実施検討と報じられた、政府が関わる安倍氏の葬儀。どのような形で行われるのか、注目が集まっている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
歴代首相の「国葬」「合同葬」は?【近年の事例・一覧】安倍氏の「大規模な葬儀」秋に実施検討と報道も