安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件をめぐり、宗教法人「世界平和統一家庭連合」の田中富広会長は7月11日午後に記者会見を開き、「当法人の会員として安倍元首相が登録したこともないし、顧問になったこともない」と強調し、関係性を否定した。
同法人は2015年まで世界基督教統一神霊協会の名称で活動。当時の略称である「統一教会」の通称で広く知られている。
安倍元首相を銃撃したとして、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也容疑者の供述内容について、「特定宗教団体への恨みが動機になっている」とマスコミ各社が報じている。
一部のメディアが、この団体を世界平和統一家庭連合の実名入りで報道したことから、「当法人としての公式見解を発表する必要がある」と感じて記者会見を開いたという。
田中会長は同法人と安倍元首相の関係性を否定する一方で、同法人の「友好団体」とされる国際NGO団体「天宙平和連合」(UPF)が主催する行事に、「安倍元首相がメッセージ等を贈られたことはある」と説明。「安倍元首相は、(同団体の)ハン・ハクチャ総裁が指導し、多くの世界の指導者と共に推進している世界平和運動に対しては賛意を表明した」という。
UPFが安倍元首相と関係を持つようになった時期やきっかけについては、「当法人が主催団体で企画した行事に関わったことがないので、UPFに直接聞いてもらうしかない」と述べた。
安倍元首相の政治運動や演説時の聴衆の動員に、同法人が協力した事実があったかを問われると、「政治運動はUPFから協力依頼があってすることはあったとしても、安倍元首相に関してはない。こちらが組織的にやることはないので、各個人が要請を受け止めて応援することはあるかもしれないが、それでも安倍元首相に関することを聞いたことはない」と説明した。
安倍元首相が銃撃された際に行っていた遊説の聴衆に同法人の関係者がいたかについては、「よくわからない。教会員がたくさんいたとしたら、安倍元首相の応援でなく、地元の候補者の応援だと思う」と答えた。同法人として地元の候補者を応援していたかを尋ねられると「教会として(の応援)はないが、個人として、(信者の)皆さんが支援団体として応援している可能性はある」と述べた。
安倍元首相の秘書を派遣したことがあるかについては、「UPFの方はわからないが、教団としては一切ない」と否定した。
自民党などに献金したかどうか問われると、「自民党から当法人へ、当法人から自民党へというお金の動きは一切ない」と答えた。
山上容疑者が、同法人について「(海外から日本に)招き入れたのが岸信介元首相。だから安倍氏を殺した」と話しているとの報道もある。
旧「統一教会」と岸元首相の関係を問われた田中会長は、「いわゆる私たち法人との関係というよりは、(教会の設立者の)文鮮明氏の平和運動に深く理解を深めてくれていたと理解している」と答えた。その上で、「(教会と岸元首相は)深く関わっていないと思う。ただ平和運動で関わっていることはあるかもしれない。その辺は友好団体(UPF)と確認したい」と述べた。
旧「統一教会」が日本に根付く時期に岸元首相が果たした役割を尋ねられると、教会について「韓国から宣教師が送られてきて、宣教師から1人、2人、3人と根付いてきた宗教団体。その動きの中に、岸元首相が特別な計らいをした、特別な影響を与えたということはまずないと思う」と答えた。
田中会長の記者会見の一部始終は、AbemaニュースがYoutubeで放送した。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
【旧統一教会の記者会見】安倍元首相との関係性を否定。安倍氏は「世界平和運動には賛意を表明」