iPhoneに搭載される高性能な「A」シリーズのチップや、インテルから自社製シリコンの「M」シリーズへの移行で成功したApple。その勢いはとどまるところを知らないように思えましたが、サプライチェーンの混乱などで、ここに来て限界を露呈しています。
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著名アナリストのミンチー・クオ氏や経済紙記者のマーク・ガーマン氏は、「iPhone 14」の通常モデルには新チップ「A16」が搭載されず、引き続きA15チップが採用されるとリークしています。
事実であれば残念なニュースですが、この背景には、サプライチェーンの混乱や半導体不足の影響があるようです。 海外経済紙「Bloomberg」は、Appleのサプライヤーである半導体ファウンドリ、TSMCがさらなるコスト増を余儀なくされており、チップ価格のさらなる上昇に直面する可能性が高いと報じています。
日本の化学メーカーである昭和電工株式会社は、TSMCに重要なチップ製造材料を供給しています。しかし同社は、世界的なチップ不足を背景に大幅な値上げを余儀なくされているそうです。
同メディアが報じた同社の関係者の話によれば、現在の状況では「これまで計算していた金額の2倍を要求される」とのこと。また、この状況は2023年まで大きく改善されることはないだろうと話しています。
他の部品メーカーや材料メーカーも、価格競争が激化する中、半導体業界で同様の動きをしています。これらの全体的な値上げは、TSMCなどに連鎖し、最終的にAppleなどの顧客にコスト増が転嫁されることとなるでしょう。
テック系メディア「MacRumors」は、5月にも、TSMCがかなりの値上げを顧客に警告している最中であるという報道があったことを指摘。これは、2021年に20%もの大幅な値上げを行い、過去10年間で最も大幅なチップ価格の上昇と言われた後の出来事です。
iPhoneシリーズの上位モデルは、2017年のiPhone Xの発売以来、スタート価格は999ドルからので販売されて来ました。しかしテック系メディア「iDropnews」は、「iPhone 14 Pro」のスタート価格は100ドル値上げされるとリークしています。
また、「iPhone 14」と「iPhone 14 Max」は、「iPhone 13」シリーズと同じA15 Bionicチップを維持するとの見方が有力です。これらの変更は、Appleの背後にあるサプライチェーンの影響によるものだと考えられます。
このように、天下のAppleいえども、グローバル経済の限界には勝てないようです。なお、ミンチー・クオ氏は最近、この最新チップがProモデルに限定される傾向は今後も続くと指摘しています。
とはいえ、半導体の供給不足はグローバルな現象。同業他社も似たような状況にあるため、Appleだけを責めるわけにはいきません。なお、今年も上位のProモデルには新型チップ「A16」が積まれるそうなので、そこがAppleファンにとってはせめてもの救いです。
オリジナルサイトで読む : AppBank
iPhone 14で露呈するApple「半導体自社設計」の限界