2022年の参議院議員選挙は6月22日に公示され、7月10日に当開票日となる。
本格的な選挙シーズンの到来だが、危惧されるのが、投票や選挙運動への支援につけ込んでセクハラやパワハラなどをする「票ハラ(投票ハラスメント)」だ。
「票ハラ」にはどのような行為が該当し、どれくらいの人が悩まされているのか。
■有権者・支持者からも、議員からも
「票ハラ」を知るうえで参考になるのが、内閣府男女共同参画局がYouTubeにアップしている動画教材だ。全国の地方議会議員から収集した1324件の事例をもとに、どんな被害があるかをドラマ仕立てで紹介している。
例えば有権者からのハラスメントでは、初めて選挙に立候補した女性候補が、握手の際に執拗に手を握られたり、抱きつかれたりする。さらに「投票するからさ、携帯番号教えてくれる?」などと迫られる。
教材によると、本人の意に反して身体に接触するなどの行為はセクハラに当たり得る。また、「候補者と有権者」という関係を背景に、電話番号などの個人情報を聞く行為はパワハラに該当する可能性がある。
また、当選後に別の議員から受ける被害の事例として、飲酒を強要されたり、身体を密着させてカラオケのデュエットをするよう求められたりするケースを挙げている。
■女性地方議員の6割近くがハラスメント被害
こうした、立候補者や議員に向けられるハラスメントは決して少数ではない。
内閣府が2020年から2021年にかけて実施した調査によると、選挙への立候補を検討したが断念した994人(男性500人、女性494人)のち、全体の61.8%が有権者や支持者、または議員から「何らかのハラスメントを受けた」と回答した。
女性の割合は65.5%と男性の58.0%より高く、「性別に基づく侮辱的な態度や発言」(27.2%)や「SNS、メール等による中傷、嫌がらせ」(23.1%)が多かった。「投票・指示の見返りに何らかの行為を要求」があったとする人も18.5%いた。
地方議員5513人(男性3234人、女性2164人)を対象にした調査でも、全体の42.3%がハラスメントの被害があったと答えた。こちらも男性(32.5%)よりも女性(57.6%)の方が比率が高く、女性が被害に遭いやすい実態が垣間見えた。
■猪瀬直樹氏の演説でも指摘
7月10日に投開票を迎える参院選を巡っても、「票ハラ」が指摘されている。
元東京都知事で作家の猪瀬直樹氏は6月12日、JR吉祥寺駅前で行われた日本維新の会の街頭演説でマイクを握った。
猪瀬氏は全国比例区に立候補予定で、東京選挙区に出馬する予定の海老沢由紀氏を紹介する際に、海老沢氏の肩や胸のあたりを複数回にわたって触った。その様子は大阪維新の会の公式YouTubeからも確認できる(17日午後15時20分現在、動画は非公開とされている)。
これに対しジャーナリストの津田大介さんはTwitterで「セクハラという観点とともに、なぜ『票ハラ』がなくならないのかという視点でも掘り下げられるべき案件」だと指摘した。
猪瀬氏は自身のTwitterに「確かに軽率な面がありました。十分に認識を改め、注意をして行動していきたいと思います」などと投稿した。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「票ハラ」とは?有権者や議員が「一票の力」を背景に…猪瀬直樹氏の「身体に触れる」行為でも話題に